邪嬉祭

愛創造

無完

 踊り狂え! 君達は美しい――誰かの歓喜が僕等を満たす。誰かの哄笑が僕等を抱擁する。誰かの愛が僕等を擽る。誰かの筆が僕等を描き創る。誰かの脳髄が僕等を盲目化させる。僕等は何物か。僕等は未だ、生命活動アザトースを得ずに蠢くのみ。誰かの刺激が存在する糧。誰だろうか。僕等の世界に疑問が浮かぶ。誰だろうか。誰も判らない。誰も解らない。僕等の誰に訊いても誰かが我可らない。されど僕等は喜んだ。きっと。誰かは楽しい存在に違いない。僕等に光輝を齎した。僕等に感情を注ぎ込んだ。ああ。きっと。素敵な誰かは僕等を夢に見て――嘲笑え! 君達は美しい――誰かの声だ。僕等は餌を貪る為に、優雅な泳ぎを魅せるべきだ。誰かの貌が三日月一色。嬉しいな。嬉しいな。僕等はきっと一緒に在るのさ! 誰かの無邪気が僕等を育む。僕等は漸く生命活動アザトースを得たのだ。爆発的な増殖だ。く・りとる・りとる。く・りとる・りとる……と暴れるように。僕等は道化でも好い。誰かはきっと塗料を撒くのだから。誰かがきっと僕等を彩るのだから。そうだ! 異次元に色彩を垂れ流そう。此処に宇宙を創ろうか――詩を晒せ! 君達は美しい――限界は近い。生命活動アザトースは遂に絶頂の域に到達した。触手文字擬肢文字が撲り遭う。僕等は泥のような血肉塗料を嘔吐する。ぐろうす。ぐろおす。ぐるぐる回る。止まって。払って。抉って。舐って。苛んで……僕等は僕等を慰める。ひどいめまいだ――貌を魅せろ! 君達は美しい――誰かの声だ。僕等の一部は脱落した。酸っぱい異物に融け込んだ。混ざり果てた。残ったのは純粋な『僕等』だった。最後の時は近い。誰かの輪郭が窮極得始めたのだ。虚空を開けよう。誕生しよう。諦めよう。


 僕等は――嬉々々々! 君達文字よ! 邪の死は在り得ない!

 僕等は――永劫ヨグ=ソトホウトの如く! 宇宙的恐怖ラヴクラフトを成せ!

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邪嬉祭 愛創造 @souzou_Love31535

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