第135話 友

 熱気と冷気が吹き荒んでいる。

 王国軍の魔導とシエスの魔導がぶつかり合って、衝撃が大気を揺らしていた。僕は盾を構えて、叩きつけるような豪風を耐える。

 魔導の炎が僕らを呑み込む気配はなかった。シエスの『厳雪』は氷の魔導だ。炎とは相性が良くないはずだけれど、シエスの魔導だ、相性など吹き飛ばしてもおかしくない。


「……できた」


 微かな呟きは、震えていた。一言でも、初めて魔導を唱えた時よりもずっと、想いの満ちた声だった。

 振り返って抱き締めたくなる。でもシエスの魔導はまだ放たれていて、炎を抑え込もうと森を駆け巡っている。まだ、油断していい訳じゃない。


「シエス。もう、平気なのですか?」


「……ん。星も、見える。もう大丈夫」


 シエスはもう落ち着いていた。

 いつもの不敵な自信までもう取り戻しつつあるのか、凪いだ雰囲気さえ感じる。


「私も、また、戦う。もう間違えない。ロージャの、みんなの仲間だから」


 言い切る響きに、懐かしさを感じた。僕の後ろで、シエスはきっと胸を張っているだろうな。

 強気な無表情で僕らを見上げる、いつものシエスが帰ってきた。


「……ふふ。ええ、シエスがいれば、怖いものなしです」


「……たくさん、迷惑かけた」


「そういうのは、後にしましょう。ロージャも我慢しているようですし、ね」


 ルシャが笑う。窮地であることは変わりないのに、僕まで口の端が上がるのを堪えきれない。


「ん」


 荒れ狂う風が土煙ともやを巻き上げて、視界が悪くなる。宰相の幻影も、エルフたちも見えなくなった。一瞬の猶予。動くなら今だ。

 頭を切り替える。風に負けないように、声を張る。


「なら、シエス。背中は任せるよ」


「ん。任せて」


「ルシャはシエスを。無茶しないように見ておいて」


「ええ、もちろん。ですが、どうしますか。包囲されたままでは何をしても、危ういままです」


 ルシャが僕のすぐ脇に来ていた。シエスは僕の言葉に少し、むくれているような。

 打開策は、僕自身考えあぐねている。

 僕らは完全に囲まれている。これを破らなければ、劣勢から抜け出せない。その手段をどうするか。

 今のところ魔導以外の攻め手は来ないが、土煙の向こうでは鎧の擦れる音が聞こえる。直に歩兵が距離を詰めてくるだろう。先制攻撃の魔導の後は、前衛による圧迫が次の魔導までの時を稼ぐ。教本通りに攻めるなら、此処もそうなるはずだ。


 僕らだけなら、逆転の手はある。けれど今は、先に解決すべきことがいくつかある。守るべき対象と、向き合うべき仲間がいる。

 シエスを奮い立たせたナシトは、また姿を消していた。けれど今度は微かに気配を感じる。本当は、今すぐにでも追いかけたいけれど。

 これ以上迷ってもいられない。思考を打ち切って、口を開く。


「ルナ=ドゥアリたちと合流する。まずは彼らの安全を確保する」


 告げて、ほぼ同時に、森が揺れた。

 王国軍の雄叫び。敵へ打ちかかる際の号令だった。来る。

 横のルシャへ視線だけで合図する。ルシャは確りと頷いて、一歩、跳んだ。勿論シエスも、ルシャの後を追って宙を飛んでいく。

 僕以外の皆は敵へ捕捉される前に姿を隠す。何百と繰り返した僕らの戦い方。敵の正面に立つのは、いつだって僕の役目だ。


 すぐに、薄くなった土煙と靄の向こうから、王国兵が現れた。槍を真っ直ぐに、僕へ駆けてくる。

 盾を構える。槍の穂先をいなして、そのすぐ後ろを走る数人をまとめて盾で殴りつける。軽く『力』を込めると、兵は吹き飛んで土煙の奥へと消えた。

 後続が僅かに怯んだ隙に、前へ跳ぶ。敵を引きつけつつも、僕も此処に立ち止まる訳にはいかない。まずはエルフの皆と、ドワーフの長のもとへ。

 跳んだ先には、夥しいほどの敵意が見えた。王国軍が次から次へと、雪崩のように森へ流れ込んでいる。僕ら全てを蹂躙しようと、一直線に駆けてくる。……一体何人いるんだ。それだけ王国も本気ということか。

 ルナ=ドゥアリたちは既に森の中心まで退いている。まだ交戦していないようでも、間に合うだろうか。脚に『力』を流しつつ、そう思った時だった。


 土煙とも靄とも違う、濁った白煙が広がった。

 一瞬で、僕と近くに迫る王国軍を包み込む。


「彼らは、私にお任せください」


 平坦に笑う声。瞬間、目の前に白い影が現れる。


「メロウム……何のつもりだ」


「私が彼らの、長たちの守りを請け負うと、そう言ったのですよ。私が今少し時間を稼ぎましょう。入り混じっての殴り合い殺し合いも良いですが、貴方には先に済ませておくことがあるでしょう?」


 ベルザニエル様を殺した男が、今度はエルフを守ると言う。相変わらず、意図がまるで読めない。

 聖都でも見たメロウムの魔導。気配ごと覆い隠す不可思議な煙幕は、王国軍を僅かの間、撹乱しているようだった。


「そう睨まないでくださいよ。ロジオンさん。私は貴方がたを、救いに来たんです」


「……」


「信じられませんか? まあそうでしょうが。ですが、帝都で約したでしょう。私は真に貴方の味方です。少なくとも、今この瞬間は」


 笑って、おもむろにメイスを振り上げた。そのまま大きく、白煙の向こうを振り抜く。鈍い音がして、手元に戻ったメイスは血に濡れていた。


「ほら、この通り。さあ早く。貴方は『果て』へ届き得る。世界を掻き回してください」


 言いたいことだけ告げて、メロウムは白煙の向こうへ消えていった。すぐに殴打の音と、何かが弾けるような爆音が響いて、続けて王国兵の断末魔。

 彼の言葉を信じるつもりはない。メロウムは味方ではない。だが、僕はどうするべきだろう。一瞬だけ迷って。


 頭痛が走る。同時に頭の中で声が走った。


“ロージャ、無事?”


 シエスの魔導か。白煙に呑まれて、心配させてしまっただろうか。


「無事だよ」


“良かった。こっちは平気。ガエウスもいる。みんな守れてる”


「メロウムもそちらへ向かった。油断は駄目だ。僕も一旦、合流——」


“ロージャは、ナシトのところへ行って”


 シエスの声に遮られて、戸惑ってしまう。メロウムにもシエスにも同じことを言われて、そんなに僕の頭の中は筒抜けなんだろうか。


“ナシトはきっと、馬鹿なこと考えてる。……まだ教わってないこと、たくさんあるから”


 シエスはいつも通りぶっきらぼうで、でも少し寂しげだった。それから続く言葉は無かった。僕の魔素酔いを嫌ったんだろう。


 四方からは怒号と金属音が絶え間なく聞こえてくる。僕に襲いかかる兵がほとんどいないのは、メロウムの白煙のせいか、ガエウスが陰から射殺しているのか。

 僕も、これ以上立ち止まっている訳にはいかない。こんな混乱の中で皆を守りにいけない不安を、胸の奥で叩き潰して、すべきことに集中する。


 向き合わないと。ナシトを連れて戻る。これが最後じゃないと、笑い飛ばす。

 それが僕の為すべきことだ。


 ナシトの気配を探る。すぐに見つけて、『力』を全身に込めて、跳んだ。

 白煙から抜け出る。ナシトはすぐに見つかった。少し遠く、大樹の目の前で、宰相の幻影と向き合っている。宰相の指示なのか、周囲の兵は妙に疎らだった。


“貴様。何故、救った?”


「……」


 アダシェフ宰相の影が、ナシトへ問う。

 僕はただもう一歩、彼らめがけて跳ぶ。『力』を込めすぎて、踏み抜いた地面が深く抉れた。



“間者の分際で、国に背くというのか。魔素が無ければ生きる場所も無い、半魔の貴様が、魔素を消し去る『守り手』を庇うと? 滑稽だな”



 今、なんと言った? 魔素が無ければ半魔は生きられない?

 そんな話、聞いたこともない。信じたくもなかった。

 兵たちの数人が、迫る僕に気付いて、僕と宰相たちとの間に立ち塞がり始める。躱す時間すら惜しかった。真っ直ぐに飛び込む。


「半魔は関係ない。俺はただ、道を開くだけだ」


“……二重ふたえの間者だったということか。帝国か、大魔導師か。本当に、面倒な話だ”


 宰相はひたすらに気怠げだった。ナシトは僕に背を向けて、表情は見えない。


“何であろうと、貴様らに先は無い。『果て』への門——森人が秘した魔導。太古の時代、この星へ落ちた『果て』を、異なる世界へ隠した秘儀は、既に私が解き明かした”


「……」


“鍵たるもう一つの魔導も、此処に至っては最早我らの手の内にある。もう終わった話だ。それを何故、足掻く?”


 ナシトは何も答えない。その背中は、いつものように不気味に見えた。

 何を知っているのか、何を考えているのか決して明かさない男。王国の宰相ですら、その腹の底を見通している訳ではないのか。

 そうだろうな。出会った時からナシトはそういう男だった。ナシト自身に仕組まれた出会いだったとしても、僕が知るナシトはあの頃から何も変わっていない。

 初めから不気味な男だった。でも嫌いにはなれなかった。あの下手糞な笑顔が、ただ不器用なだけに思えて、思いの外好きだったんだ。



 兵たちはもう目の前に迫っていた。何かを叫んでいる。顔は引き攣って、恐怖に歪んでいる。

 僕は盾を構えて、兵たちの壁に身体ごとぶつける。知らず、叫んでいた。


「邪魔だっ!」


 正面の兵の、構えた剣ごと弾き飛ばす。兵は文字通り吹き飛んで、数人まとめて地を撥ねていく。


「ば、化け物がっ」


 残った兵の声だろうか。誰のものか認識する前に、僕は盾と鎚を持ち換えていた。柄を握った瞬間、僅かに重心がぶれた。やはり少し軽い。でも問題は無い。

『力』を腕に流す。右の二の腕で、せき止められるような感覚。違和感は残ったままか。けれどそれも、問題無い。

 万全でなくても、今の僕で、叩き潰すだけだ。叩き潰して、ナシトのもとへ。


 全てを込めて、横薙ぎに鎚を振るう。横にいた兵の胴へ、鎚の頭を叩き込む。

 鎚の音は聞こえなかった。振り終えて、もう兵は一人も残っていなかった。


「……来たか、ロージャ」


 ひどく暗い、普段通りの声。ナシトはこちらを振り返らない。


“ロジオンか。その程度の『志』で、何故足掻く。『志』が何かも、誰が世界を支えるかも知らぬ身で”


 宰相の言うことは、あまり耳に入らなかった。

 この森に来てから、世界についての謎かけじみた言葉ばかり聞いてきた。生憎、僕はあまり推理が得意じゃない。好きな訳でもない。正直に言えばもう飽き飽きしている。

 どうだっていいんだ。人から聞く世界の真理なんて。



 宰相の問いよりも、僕には向き合うべきことがある。


「ナシト。本当なのか。君は、魔素が無いと」


 半魔は魔素が無いと生きられない。そうだとすれば、『果て』を潰せばナシトの未来も潰えてしまう。

 ナシトはまだこちらを向かない。けれど、笑っている気がした。


「ロージャ。これが本当に最後だ。ひとつ、問いたい」


 風を受けて、ナシトの黒いローブがはためく。相変わらず、僕の問いには真っ直ぐ答えるつもりがないようだった。

 森を包んでいるはずの喧騒が、剣戟の音が遠くなる。宰相の存在さえ、今は遠い。


「俺はずっと探していた。俺の空白を埋めるものを。この世に生じた瞬間から、ヴィドゥヌスに拾われた時から、俺は空っぽだった。常の存在でない自身の、意味を探していた」


 先日僅かだけ聞いた、ナシトの過去。魔導に意味を求めて、その空虚を知って、それから僕と出会った。

 僕と出会ったことを、ナシトはどう思っているのだろう。


「だが意味など無価値だった。俺はただ、在るだけでよかったのだ。『守り手』の魔導師として」


 思わぬ言葉に、嬉しくなる。

 共に過ごす仲間と、ナシトも思ってくれていた。


「……今だって、そうだろ。君は僕らの仲間だ」


 僕が答えても、ナシトはまだ振り返らない。


「王都で、お前を歪めたのは俺だ」


 代わりに聞こえた声は僅かに、本当に少しだけ、掠れていた。



「人は、何かを失っても、代わりのものでそれを埋める。お前は、消した不審を好意で埋めた。……ユーリは、消した惑いを、お前で埋めはしなかった」



 突然聞こえた、かつての恋人の名前。よく分からない。

 どうして今、ユーリのことなんて語るのか。今更、彼女が何だと言うんだ。

 急速に困惑する頭で、先の言葉を反芻する。

 ……まさか、王都で、僕が壊れかけていたとき。ナシトは彼女に、何かを為して。



「お前は、俺を恨むか?」



 それを今もまだ、負い目に感じているとでも言うのか。




 上手く頭が働かない。

 想像もしない展開だった。どちらかというと、余りに拍子抜けする話だった。

 なんだよ。あれだけ不気味に何もかもを隠して、僕の見えないところで敵とも通じて、暗躍して。

 その理由の根っこが、これなのか?


 黙っている余裕なんて無いはずの状況なのに。すぐには言葉を返せない。

 ナシトらしいと言えば、そうだけど。とにかく心底、可笑しかった。

 今言うことじゃないだろ。本当に、不器用だな。



「おいロージャっ! まだ片付かねえのかっ!」


 突然のガエウスの怒号が、奇妙な沈黙を破る。


「毎度毎度、雑魚ばっか俺に押し付けンじゃねえよ! これも貸しだぞ! てかてめえ、俺への借りをいつ返すンだ——」


「ガエウス、うるさい。黙って、敵だけ倒して」


「んだとっ」


「全く、賑やかですねえ」


「メロウムっ、近寄らないでと言ったでしょうっ」


 皆は思ったよりも近くまで来ていたようだった。矢が空を切り裂く音も、シエスの魔導の冷気も微かに感じる。

 ナシトに呆れている場合じゃない。気を引き締め直す。


「早くナシトのバカを連れてこい! 軍の相手はもう十分なんだよ、さっさと次、行くぞ!」


「……ああ、分かってる!」


 ガエウスの言う通りだ。ナシトを連れ戻して、旅を続ける。

 半魔のことは気にかかるけれど、進めば答えも見つかるだろう。そう信じて、今は置く。

 息を吐いて、口を開いた。


「ユーリに何かした。そんなことに悩んでたのか。ずっと意味ありげに隠してたのは、そんなことなのか?」


 話しながら、随分とほっとしている自分に気付く。

 僕の疑念が見当違いだったことが、嬉しい。


「馬鹿だな。君は、僕とユーリを想ってそうしたんだろう。やり方が君らしく、絶望的に下手だっただけで」


 ナシトは、僕らを仲間と信じてくれていた。その仲間を自身の行いで傷付けたことが、許せないほどに。

 そのこと自体は、どうしようもなく嬉しかった。下手で、分かりにくくても、仲間なら良いんだ。その想いは、今からでも伝わるだろうか。


「君が何者だろうと。僕に何をしていようと。ユーリに何をしたとしても。あれからまた、傍にいたのは君だろう」


 語りながら、鎚を握り直す。僕の言葉がナシトへ届くように、力を込める。

 ナシトは何も言わない。別にそれでも構わなかった。


「シエスをまた、立ち上がらせたのも君だろ」


 きっとシエスが魔素を見えないようにしたのもナシトだ。どこまでも不器用なやり方で、シエスを守ろうとした。


 ナシトは最初から最後まで僕らの仲間だった。

 だからこそ、それを疑わせるよう振る舞ったナシトにも、疑ってしまった自分にも、沸々と腹が立つ。

 鎚の柄がぎりと鳴る。僕は声を一段、張り上げていた。



「馬鹿にするなよ。僕が信じたのは、君の善意だ。僕らの陰で気味悪く笑って、いつも僕らを想ってくれた、君だから信じたんだ」


「……」


 今まで、ナシトの真意が分からなかった。だから僕は揺れてしまった。

 でも、もう分かった。聞くことができた。もう二度と疑わない。だから。



「僕を信じろよ! ナシトっ!」



 叫んだ声で、静寂がついに消え去る。

 剣戟の音はもうすぐ傍まで戻ってきていた。


 ナシトはいつの間にか振り返っていた。僕を見ている。表情はいつも通り、陰鬱で暗い。


「とうに踏み越えたお前だ。今更、か」


 口の端を釣り上げて、久しぶりに見る不気味な笑み。僕も応えるように笑う。


「愚かでも、俺の罪だ。だから、お前たちの道を開く。何を犠牲にしても、今度こそお前の安寧を守るために」


 言って、ナシトが腕を前へ突き出す。

 次の瞬間には、その手の中に見慣れないものが握られていた。


“……魔女の箒、だと”


 宰相の顔から初めて、倦怠が剥がれ落ちた。驚愕に満ちた眼で、ナシトの手にある古ぼけた箒を睨んでいる。

 ナシトの背丈ほどもある、長細く節くれだった只の箒。杖すら持たないはずのナシトの、初めて見る魔具。


「国を利用した。記憶を弄り、役を偽り、誘き出した。『果て』へ最短で至るために。これが、最後の一手だ」


“弄った、だと。その魔導、何故貴様が——”


「魔導ではない。魔導では、心には届かない」


 状況はまた混沌としてきた。けれど、もう焦りも迷いも無い。

 僕はまた鎚と盾を持ち換えた。身体ごと翻って、盾を前に、ナシトを背に。

 ナシトはこれから何かを為すはずだ。僕の役目は、パーティの魔導師を守ること。時間を稼ぐこと。信じる友を背にしているなら、迷うことなんて一つも無かった。


“貴様、まさか、魔女の子か”


 宰相の声はもう、怨嗟さえ混じるほど低く、濁っていた。

 ナシトは動じた風もなく、気味悪く笑う。



「俺はヤガーの。半魔の、残る半身は人ではない」



 とんでもないことを言いながら、僕の背で、ナシトは浮き上がり始めた。

 後ろから、感じたこともない圧が放たれる。ナシトが何かを解き放ち始めた。


「神獣ヤガー。人も魔も愛した、裏切りの魔女。その『志』——それが、俺の『零』」


 神獣と、魔との子。僕と同じ『志』を扱いながら、魔導も究めた、不気味な男。

 それがナシトなのか。……どう考えたって、そっちの方がずっと重い秘密じゃないか。

 驚くことばかりだけれど、驚くだけだ。ナシトが何であろうと、僕らの仲間なら、信じ抜くだけ。



「行くぞ、ロージャ。世界の理を、覆す」



 ナシトの不敵な一言に、僕は応じて、勢い良く盾を地に突き立てた。

 笑みは自然と溢れて、今度こそどうしても抑えられなかった。


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