サリサにヤキモチをやかせたい


 エリザが山を降り、これでやっと『漆黒のジュエル』につながるぞ! と思った時、読者からあるリクエストがあった。


 サリサにヤキモチをやかせてほしい。


 まぁ、確かに。巫女姫は最高神官以外の男性と出会う機会はないわけですから、サリサはモテモテ。エリザはやきもき。

 これじゃあ、なんだか悔しい。女性としては。

 そこで、もういいかな? と思っていた、山を下った後のエリザも書いてしまうことに。

 それでまたまた長編になってしまった。


 実は、三幕ですぐに『漆黒のジュエル』に結びつけるには、ちょっと矛盾を抱えていた。

 エリザは故郷の蜜の村に帰った、でも、『漆黒のジュエル』では、一の村の癒しの巫女となっている。

 この理由を説明する必要があった、それが四幕だ。


 そして、ラウルというサリサのライバルを登場させた。


 ラウルはとてもいい人で、以前の連載中には、

「エリザはサリサを諦めてラウルと幸せになってほしい」

 という感想までいただいた。

 エリザのどっちつかずな中途半端な態度に怒り心頭の人もいた。


 ……が、私は、この四幕がけっこう気に入っている。


 エリザが、女の嫌なところ満載……というか、少女の頃の一途な初恋から、将来を見据えた恋愛を打算的に考え、迷うからだ。


 女は、二番目に好きな人と結婚するのが幸せ、とよく言われる。

 そして、実際、それで幸せな結婚をしている人が、実に多い。


 エリザの中途半端な態度は、理想と現実の狭間で揺れる女心だ。

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