竜神の末裔
異形である醜さ&美しさ
竜の話が読みたい……というリクエストで、2週間ほどであっという間に書き上げた作品。
アイデアも全て速攻・降りてきたってやつだ。
しかも、ラストのどんでん返し(?)は、書き始めた時にはなかった、書いている途中で、これ違うだろ? と思い立ち、考えたものだ。
竜巫女といわれる歴代の女王は、近親婚を繰り返してその血を伝えた。彼女らは皆、異形であったため、人前に姿を現すことすら嫌ったが、
この部分が、ラストの伏線になっているわけだが、書いた時点では、単なる雰囲気出しにしか過ぎなかった。読者もそのつもりで読んでいただろうから、ラストがますます「ヤラレタ!」になったと思う。
では、なぜ、この設定があるのかというと……実は、前後して書いた『蛇巫女』と同じ世界観だからだ。
『竜神の末裔』は、一気に書き上げたので、事細かな世界を作る時間はなかった、だから、蛇と竜を置き換えて、同じ世界を書いたのだ。
竜の話が読みたいというリクエストから蛇を竜に変えたわけではない。
『蛇巫女』の物語では竜ではいけないし、『竜神の末裔』は蛇神ではいけなかったのだ。
そもそも同じ神で、同じものではあるが、時代が過ぎて、人々の呼び方が変わったのだ、とでも思って欲しい。
蛇も竜も神聖だろうが、人間の好みからして、竜は憧れがあったとしても、蛇は嫌な人が多い。
『蛇巫女』の時代の神は、祟る神であり、絶対神だ。だが、時代が過ぎた『竜神の末裔』の頃は、もう神は伝承の話であり、一時は衰退し、神がかり的な奇跡も起きやしないのだ。
流緒は、美しくも醜い異形の者だ。
あえてぞっとするような、気持ちの悪い描写をした。
眼球が回るところや舌の描写、いかにも爬虫類であるように書いた。爬虫類は、多くの人が忌み嫌う生き物で、Vなどの異星人の描写にも描かれている。
トカゲなどを見ても、ぎゃっと引くが、よくよく見ると色が綺麗だったり、美しかったりする。
そういうキャラにしたかった。
そして……エーデムシリーズの魔族たちが、性的な欲望に乏しい設定だったのに対し、竜人はむしろスキモノ設定にした。
このお話が、ものすごい純愛物でありながら、兄と妹(実際は血が繋がっていないが)の禁断の愛であり、人と異形の生き物の繋がりであり……と、どこか醜い、欲望ドロドロの面もあって、受け付けない……という読者も多かったように思う。
特に、続編は性的な描写も書けるよう努力していた時期もあって、ちょっと今となっては、少し書き換えないと恥ずかしくて公開できない有様だ。
流緒は、私にとってはかなり好きなキャラで、書きやすかったのだが……。
沙羅は、正直、本当に苦しんだ。
優等生を極めなくてはならない、それでいて、弱くて強くて、さらに兄を強く愛する女である……って、どんな人なんだ?
書き終えた後も、ちゃんと書けたのか、とても不安だった。
この作品には続編がある。
だが、物語としては、綺麗に結んで完結している。
続編は、流緒の成長物語で、また、この作品とは色合いが違う。
流緒と沙羅は、その後、色々な出来事があっても乗り越えて幸せにするつもりなのだが、幽閉されて育ってきた流緒は、世間の荒波を渡って生きてきた沙羅よりも、純粋で真っ直ぐだ。それが、様々なすれ違いや軋轢の元となる。
新たな登場人物や諸外国との駆け引きなどがある、やや現実的な物語になる。
イメージが異なるかな? と思っている。
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