テーマがだぶる

『一角の森』と『狩人の時節』は、書いた時期がほぼ一緒だ。

 なので、テーマがダブってしまっている。

 私は、伝えたいことを強く思って書くタイプなので、同時期に書くと、どうしても同じメッセージになってしまうようだ。


 この2作品が似ていると思う人は、あまりいないかも知れない。

 だが、私にしてみると、言い方を変えた同じ物語だ。


 ミラとスミアは境遇が似ている。

 どちらも、自分ではなんともしがたい生まれ落ちた環境に運命を縛られていて、自分らしく生きる道は見いだせない状況だ。

 が、全く別の種族と出会うことによって、次第に変わってゆき、最後は自らの足で自らの運命を切り開く生き方をする。


 そう、言い方を変えただけで、同じ物語だ。


 だが、スミアとミラは、全く違うキャラだ。

 そして、スミアは読者に愛されキャラだったように思うが、ミラは好き嫌いが分かれた。


 スミアは能動的でミラは受動的だ。

 子供から大人へと成長し、徐々に自分の生き方に疑問を持ち始めたスミアは、何かを変えなければ! という気持ちから、土鬼への復讐を誓い、自ら行動を起こしてゆく。その積極性が、人とは関わりを持ちたがらない光戦の民の心を掴み、ともに土鬼狩りへと向かうことになる。

 それに比べ、ミラは逃げ出してきて、たまたま一角種と出会い、恋に落ちて……で、自らは何もしていない。唯一したのは、浅はかな考えから騙されて、結局は、恩を仇で返すような裏切りだった。


 ミラをかばうなら、彼女はスミアよりも年上で、すでに、自分が何者でありたいか、なんて悩み、どうにかしようなんて希望は持てないような、達観した年齢であったこと、周りも肉親ではなく、愛情をかけてもらえないで育ったこと、何よりも教養がなかったこと……など、仕方がないことが満載だった。

 少しでも知識があるのなら、彼らが一角種であるだろうことも気がついてしかるべきで、簡単に騙されるところを見ても、けして賢いとは思えない。


 そして、スミアの相手が不老不死の長い時を生きている兄弟だったのに比べ、ややミステリアスな登場でありながら、その実、とても繊細で世界を知らないシルヴァーンというキャラが、ミラに振り回されてかわいそうかも知れないってのもあるのだろう。

 スミアと出会って、不死の兄弟がほのかな癒しを得たのに比べ、ミラと出会ったシルヴァーンはちょっと不幸だった……ってのも。

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