サリサが冒険?

『ドラゴンブック新世代ファンタジー小説コンテスト』に『エーデムリング物語』と『銀のムテ人』をエントリーしてみた。

 今までも投稿した過去はあるけれど、こんなにお手軽にコンテストに出せるのってすごいな! と思ったのと、コンセプトが合致しているかな? と思ったのと。

 後でよくよく読むと、そうでもなかった……。

 それに、読者の人気投票が反映されるので、ランキングで作品が表示されるようになってしまうと、おそらく、埋れてしまうだろう。

 ただ、ここ数日間で、PVが増えたことは確実で、より多くの人に作品を読んでもらえているようで、それだけでもありがたいことだ。


 さて、前置きが長くなってしまったが……。


 エントリーしてすぐに、とある人からコメントをいただいた。

 内容は『銀のムテ人 =第一幕・上』は、10万文字に達しておらず、規格外である、とのもの。

 実は、エントリーする前から、ちょっと足りないことは気がついていた。

 長すぎる話なので、キリのいいところで分けようと考えたのが、災いした。なので、『銀のムテ人 第一幕・下』もエントリーし、お茶を濁そうと思った。

 が、そういう考慮はなされないのでは? というご心配から、わざわざお知らせしてくれたので、なんとかせねば! と思い、番外編を付け足すことに。


 実は、エーデムシリーズにはたくさんの番外編がある。

 でも、この場所に導入する番外編は、一つしか見当たらない。

 ……それが『サリサの冒険』だ。


 銀ムテは霊山という限られた舞台の中、没個性(後々個性が出てくるが)な仕え人ばかりの中、エリザとサリサの恋愛話……ということで、マンネリになりやすい設定だ。

 サリサは、エリザと読者には、完璧な王子様キャラとして登場するが、えー! な展開で、正体がバレてしまう。実は、小心者で甘えっ子で臆病で……ちょっとずるい、優柔不断な男だ。

 そのどうしようもない子供時代を暴露するのが『ハニー・スイート・キャンディ』である。

 銀ムテしか読んでいない人には、意外な話かも知れないが、『陽が沈む時』を読んだ人には、銀ムテの方が「あれ?」であり、ここに至って、やっとプチ・サリサと大人サリサが繋がっただろう。

 プチ・サリサを描いた番外編を、この場所に入れるのは、ちょうどいいように思えた。


 ところが、この『サリサの冒険』

 当時流行りのお遊び企画の悪ノリで書いたものだから、支離滅裂でキャラも世界観も崩壊の、とんでもない作品なのだ。

 パラレル・ワールドと言ってもいいほどの……でも、悪ノリしても、そこだけは抑えて、シリアスに書き直せば十分に通じるだけの内容に留めたが。


 実はこの作品、毎回、更新のたびにアンケートを取り、次の展開を選んでもらい、それに沿って話を作った。

 毎回、最後にサリサが「どうしよう?」と悩んでいるのは、その名残である。

 マサ・メルに手紙を託されて、それをメルロイに渡すまで……が、物語なのだが、あっち行ったりこっち行ったりで、しかも、最後はちゃんと手紙を渡さなくては『陽が沈む時』に通じない。

 しかも、最初は嫌がっていた旅も、最後は「まだ旅がしたい!」という気持ちにさせないと、『ハニー・スイート・キャンディ』にも通じない。


 今回、番外編として付け足すのに、大きなエピソードを2つ削った。

 一つは、とてもダークな内容で、デューンの両親の最期を書いたもの。これは、デューンが主人公の作品の中に組み込むつもりだった。

 もう一つは……ムテの学び舎時代の、サリサとギルティのエピソード。

 母に見捨てられ、祖国を追われた幼いギルティの鬱屈した状況を描いたものだ。そして、この後、サリサが使う武器・白竜の鞭について、書かれていたので、本当は公開したかった。


 だが、その二つを削っても、全体のバランスが悪くなってしまうほど、この番外編は長すぎた。(汗)

「銀のムテ人 第一幕・上」の3分の1の長さを誇ってしまい、もはや、番外編とは言いにくい有り様だ。

 エントリーの都合とはいえ、ちょっと醜い。

 ああ、困った……。




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る