プチ・サリサ
エーデムの世界の住人も、皆それぞれに年齢を重ねて行くのだが、私は、あえて、ガラッと違う人間にしてしまい、えー! あの人がこんなことに??? ってのを、楽しみにしていたりする。
ギルティ、セリス、フロルあたりは、成長してもあまり変わらないキャラ。
置かれている立場が、そんなに変わらないし、変わる要素があまりないような?
でも、メルロイは全く別人に成長した。
純真無垢っぽい少年が、放浪の旅をして、そのままのキャラでいられるはずがない、と思った。
メルロイは、少女のような可愛い少年から、日に焼けた逞しい青年に成長、どこか飄々していて、つかみどころのないキャラに変わった。
読者にしてみれば「えー!!!」かも知れないが、そう変わるのが当たり前のような気がしないでもなく……。
そして、誰よりも一番変わったのは……『銀のムテ人』では主役を張るサリサだろう。
子供の頃のサリサと成長して最高神官になったサリサは、ほぼ別人だ。
見かけも、立派さも、能力も大違い。
執筆当時、フランスかぶれだった私は、子供の頃のサリサを「プチ・サリサ」と呼んでいた。
『陽が沈む時』で初出場のサリサは、ほんのチョイ役・アルヴィのペット的存在だった。
二人の旅よりも三人の旅で、しかも、マスコット的存在が欲しいな、と思い、急遽、作り上げたキャラで、名前も適当に付けた。
突然、魔法使いサリーを思い出し、それで、サリサとつけた。だから、後に「サリーちゃん」と呼ばせてみたりして。
サリサの役割は、アルヴィを慰めたり、からかったり、お荷物になったり……で、ストーリー上、何も重要な人物ではなかった。
アルヴィの初恋を、散々からかっていたサリサが、苦しい恋をすることになろうとは、作者の私も思っても見なかった。
成長して別物にはなったけれど、それでも、本質は変わらない。
『銀ムテ』のサリサを書く時には、いつも、彼の昔はプチ・サリサであることを、頭に置いていた。
見てくれは立派になり、能力も十分成長して大きくなったけれど……。
小心者で甘えっ子、ちょっぴりしたたかでずるっこい、それでいて、優柔不断で……かなり優しい子であることは、変わらない。
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