7話 疑惑

夏が終わり秋の風が吹く高校の朝は落ち葉が舞い少し悲しげにも受け取れる。高校の象徴である校庭のど真ん中にある大樹の葉は枯れ落ちている。夏には桜が綺麗に咲いているのに季節が過ぎると淋しいなぁ・・・・・・



『秋の特集!秋に聞く曲。秋のファッション。』

僕はそんな雑誌が登校の途中にあるコンビニに寄ったところ目についたのでとりあえず買ってみた。



「普段は全然見ないような雑誌、買っちゃったなぁ」

とか言いながら一ページ目を開く。



 するとそこには、僕がよく知っている先輩の『藤崎雅』の写真が大きく載っていた。

『若手高校生歌姫秋の新曲発表』

という見出しが書かれていた。


 彼女は有名でこの年代なら知らない人はいないだろう。僕はそんな彼女とこの間デートに行った。というのは高校の人には内緒にしておこう。



 流すようで悪いが僕はその後ページをめくっていると

『人気モデル。秋のファッション』

というスペースを見つけた。


「楼愛はどこだ~?」

 友達兼人気モデルの明石楼愛の姿をページの中で見つけようとすると。


「ここよ、ここ。」

と聞こえる。

「あぁ、ありがと」



って、ん?

「藤崎先輩じゃないですか。」

「あら、空祐君」

っていうかなんでこの教室に藤崎先輩がいるんだ?

「今日は早く来たから空祐君にかまってもらおうと思ってね~」

 年上で大人っぽい先輩も子供っぽいところがあるんだ(笑)


「先輩も一緒に雑誌見ます?」

「そうさせてもらうわ。」


 ということで僕は藤崎先輩と二人でモデルのページを見ていた。



「明石さんは相変わらずなんでも着こなせてオシャレね。私も見習いたいものね。」

「先輩も十分おしゃれだと思いますよ。」

そう僕がほめると藤崎先輩は耳が赤くなった。



「楼愛以外でもオシャレな人たくさんいますね。」

 ファッションのページを見ていると藤崎先輩が言う

「あたりまえでしょ」

と。んまぁ当たり前な話ではある。ファッションのページなのだから。



「あ、空祐君。見てこの娘。すごくかわいいね。」

藤崎先輩が指をさすところにいる少女を見た。

「確かに可愛いですね。」

するとその娘の写真が掲載されている隣に大きく書かれていた。



『この秋注目の新人モデル。月代時雨』


「「えええええええ」」


「え!待って、もしかして月代温大君の妹ちゃん?」

「う、嘘だろ?温大に妹がいたのか?聞いてないぞ!?」


 と、まぁワイワイ朝から先輩とたくさん話し、一日の授業も乗り切って放課後によく通う喫茶店に藤崎先輩と温大を誘って行った。もちろん席は入り口から一番遠い窓際の席。


「どうしたんだい?僕をこの店に呼び出して。めずらしいね。」

いつも通り温大のお気楽な口調で僕に問う。



「「どうしたんだいじゃなくてさあ」」

同じことを同時に藤崎先輩と言った。僕は『ジンクス』と叫びたいところではあったが、店内ではとても迷惑なのでやめておいた。


 藤崎先輩と共にこれまでの経緯を説明した。すると温大はお気楽な口調で言った。

「あれ?言っていなかったっけ?僕双子の妹がいるんだよ?」


「えぇ!そうなの?早く言ってよぉ。通りで可愛いわけね。月代温大君イケメンだから妹も可愛いわけか!」



「もし会いたいのであれば今から呼びましょうか?」


「いいの?」

僕はさすがにいきなり呼び出される妹さんには迷惑だとは思ったが呼んでもらうことにした。

 幸運なことに妹さんは今日何も予定がないということで十分で来てくれた。

呼び出された少女はポツンと温大の隣に座った。


「紹介するよ。彼女は僕の双子の妹。月代時雨だよ。」

すると彼女は軽く会釈をして顔を上げるとニコっとはにかんだ。可愛い。


「動画投稿者の伊月空祐です。お兄さんと同業者のものです。」


「歌手やっています。藤崎雅です。」


 僕たちはかしこまって自己紹介をする。

「お二人とも知っています。どちらもファンです。よろしくお願いします。」

時雨は見た目通りおとなしい話し方だった。温大と少し似ている。

 そんなこんなで暗くなるまで僕たちは話をして仲良くなった。
















 あれ、空祐君?藤崎雅先輩も月代君も居る。それとあの女の子は誰?












あとがき

お久しぶりです十六夜狐音です。本当はバレンタインの日に投稿したかったのですがあまりにも悲惨だったもので(近況ノート参照)バレンタインなんて聞きたくな~いということで書きませんでした。新キャラ登場しました。キャラが増えていくと文が複雑になって読みにくいかもしれませんがご了承とこれからの応援よろしくお願いします。

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