この世には二種類の人間しかいねえ。退職する前の人間と、その後の人間だッ!><

【前回までのあらすじ】

 本日、幽冥牢彦ゆめろうひこは当初の予定を変更し、就労支援センターへ通所して来た。

 何故かと言えばそれは、お世話になった職員の方が退職されるとの事なので、最後に近況報告を兼ねた面談と、次に担当してくれる職員さんへ引き継ぎをと思っての事である。

 これまでの面談の振り返りの様な内容を話して照らし合わせる。

 幽冥牢彦が思うに、職員の方は恐らく、世界で最も過酷で尊い仕事をされているのではなかろうか。

 ただでさえ精神病を患っている者に関わるという事で偏見を浴びせられるであろうし、現在の建物においても、当初は就労支援センターが入るという事で嫌がらせもあったと言うし、穏やかな人が多く暴れる様な事はないとはいえ、現在患っている症状で、それぞれが程度の差はあれど、社会で誤解され、疎まれ、散々叩かれた挙句、通所を決め、そこにいる。そういう人が自分なりに細々と頑張っている場所だ。

 幽冥牢彦にはとても出来ない仕事である。

 なので、敬意を表する為に訪れたと言っても、あながち間違いではない。

 更に、幽冥牢彦にこちらでのアドバイスをくれた方でもあった。


『権利』かぁ……。

読むラジオ・わたくしの前回までのあらすじ/躯螺都幽冥牢彦(くらつ・ゆめろうひこ) - カクヨム https://kakuyomu.jp/works/1177354054885387882


 この権利を

『市民として当然の権利だ』

と教えてくれた事。それがどれほどの救いになったかしれない。

 ありがたい事だ。


 最後に握手をして帰って来たが、職員さんの今後の人生にご多幸あれかし。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る