扁桃腺は冬に腫れたい。

【前回までのあらすじ】

 唐突にラノベタイトル風で失礼するが、用事を懸命に片付けていたら、幽冥牢彦ゆめろうひこは風邪をひいてしまった。

 火曜日の24度の気温が夜になっても大して変わらなかったので扇風機の風を浴びたのが悪かったのかもしれないが、昨日からどうものどの調子がアレなのでかかりつけの病院を訪れた結果、扁桃腺が腫れていた様子。熱も7度3分。点滴を受け、一週間分の薬をもらい、今日の分の食料を入手して帰宅した。

 一週間分の薬が出たのは、年末はどこも混む事から、一応の保険をかけての事かもしれない。何故ならば

『とりあえず三日分飲んで、落ち着いたら残りの薬は冷蔵庫の野菜倉庫辺りに入れておきなさい。一年は持つから』

という指示がお医者さんから出たからである。なるほどなるほど。こちらも引き始めの風邪を早急に治したくて伺ったので、それで落ち着くととても助かる。

 引き始めの状態で病院に行けて良かったし、後回しに出来る用事で助かった。

 それはつまり、今日の就労支援センターへの通所予定は連絡を入れて来週に回してもらったという事だ。病院に医療券を送ってもらう(というので合っているだろうか?)という事で市役所のケースワーカー様にもご一報させて頂いた。

 いい加減、職員の皆様も幽冥牢彦の身体のままならなさにはうんざりしているかもしれないが、一人暮らし故、こういうのを放置して生活するのは不可能だ。遠くない内に起き上がれなくなる。しかも、楽に逝ける保証もない。

 ただでさえ

『真面目に働いていたら、一生ものの病気にかかってしまった』

という、物語の登場人物だって絶対に神を呪うであろう展開にうんざりしているというのに、楽に逝けない最期などくそくらえだ。

 ならば病院や薬に頼って貪欲なまでに生に縋り付くしかない。

 まあ、ぐでっとしていて風邪を引いた訳ではないので、あまり引け目は感じていなかったりもしている。冬だというのに24度で汗ばんだら、扇風機くらいつける。しかも夜も暑いままだとは思わない。

『そうなったかー』

と思うしかない。


 恐らくだが、幽冥牢彦はそんな状態なりに、必要最低限の何かを片付けているという達成感が欲しいのかもしれない。

 身体を壊してやっとうつ病の人の現実を知ったというのに、

『働かざる者~』

という、生まれつきどこか悪かったり、後天的にどこか悪くした人間はいないものとして考えたに違いない例のくそったれな言葉に洗脳されているからたちが悪い。

 だが、現実は

『健常者以外の者が職場にいても困る=足を引っ張るだけのくたばり損ない=プラスを生む事はないとみなされて久しいし、生んだとしてもカウントされない』

という公式がまかり通っている訳だから、それに対するぐぬぬ感が常に心の奥底でとぐろを巻いている状態なのだろう、と分析している。


 ならば、どこの誰から白い目を向けられようと、自分の身体と相談した上での生活スタイルを構築し続けるしかなさそうだ。それを日々微調整し続けていくスタイル。

 その上で、目の前の用事を片付けたら、その都度休憩を入れ、したい事をしていくのみである。

 とりあえずは扁桃腺先輩のご機嫌を伺う事を最優先としたいと思う。

 扁桃腺先輩めこいつー☆(とでも打ち込まなければやってられない)


 ではまた☆(ゝω・)vキャピ

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