少年の日と思い出

【前回までのあらすじ】

 恐ろしい事に、数日前に米が切れてしまった幽冥牢ゆめろう宅。おかずだけは数日分あったものの、主食がなければやはりいかんともしがたいおかずばかり。

『お金とお米が同時になくなってしまうなんて……』

 何回目かの辛い現実に、どうにかこうにか、レトルト味噌汁四十数袋で立ち向かうも、液体はどうあがいても液体だった。お味噌汁が本来持つポテンシャルは、やはりどう頑張ってもそれ以上には膨れ上がらないのだ。

『『キン〇マン』におけるウォー〇マン方式は無理難題だ。というか、超人だからあれは可能なの』

という事を身を以て知った幽冥牢はひたすらに今月の入金の日を待った。

 動けばいたずらに体力を消耗してしまう。そして、ある程度きちんとしたものを摂取しなければ、病院の薬は効かない。その板挟みから、ついにお薬の禁断症状ともいえる頭痛に見舞われる幽冥牢。

(ここまでか……!)

 頭痛止めを飲んで堪え、夜まで寝た。

 そして遂に日付変更の本日、入金を確認、そそくさと近隣コンビニへ向かった彼がカードを差し込んで見たものは。


『メンテナンス中の為、お取り扱い出来ません』


 外面としては

「そっかー、しょうがないな~☆」

と呟いて帰宅したものの、幽冥牢の内側はもうボロボロであった。

(そうかそうか、つまり君はそういうやつなんだな)

 〇ーミールモードになりながら、もう一度味噌汁を飲んで寝直し、朝。コンビニ毎にメンテナンスの日は異なる訳だが、それにもまた振り回されながらあちこちのコンビニを目指して徘徊、食事をどうにか済ませて帰宅した幽冥牢の脳裏には

『生還』

の二文字が、深く深く、刻まれたのであった―

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