続々・君に名は。

【前回までのあらすじ】

 昨夜、犯人一味の中のヒステリック意味不明発言乱発系老女が近隣(ほぼ階下)に住んでいるという情報をはっきりさせたくなった幽冥牢ゆめろうは、階下の通路を歩いてみた。事件の後、家に戻ってから、寝床に付いた時、階下から聞き覚えのある声がずっと響いていたと以前書いたが、ならば、その部屋は階下の自分の部屋の真下とその両隣のいずれかであるはずなのだ。

 果たして、それらしい部屋は見つかった。

『御用の方はチャイムを押して下さい』

と書いた張り紙があったのだ。が、チャイムを押すまでもなく、明かりが点いていない事で不在だと分かった。まず、間取りとして玄関のノックの音が聞こえない程、幽冥牢達の集合住宅は広くない。逆に隣の部屋の会話が聞こえてしまう程だ。そして、耳が遠いらしいあのヒステリックな老女がそんな暗闇の中、黙って過ごせる訳がない、と考えたのもある。

 示談金の一部を受け取った、あの事件の夜を振り返ってみる。お金を持って来たのは、更なる第三者と思われる、これまた中高年の男性であった。あの夜以来、老女の声は響いて来ない。幽冥牢は立場上、支援センターに行く日以外は昼間も家にいるが、その時間にも夜にも聞こえて来なかった。

 つまりは、あの老女は既に、その男性か、もしくは家族に

『しばらく身を寄せておけ、この馬鹿が』

という事で引き取られた可能性がある。故に留守、と見るのが正しいのではないだろうか。何せその男性からすれば突然夜中に知人友人家族の可能性があるが住まいが同じ女性が警察のお世話になっているわ、呼び出されてお金を立て替えさせられるわで、踏んだり蹴ったりだったはずだ。下手をすれば、就いているであろう仕事に響く。

 ならば、家賃を多少都合する形になっても、部屋を留守にするのは、想像に難くない。


 という訳で、恐らくの居場所は分かったが、足跡は途絶えてしまった。

 長期戦になるかもしれないが、警察の担当者が

『自分でどうにかしな! ケッ!!』(大意)

という態度を示したからには、どうにかするしかあるまい。

『この話は進展があり次第続きを書いて行くぞ……!』

と、改めて一人、拳を握り締める幽冥牢であった。




 終章―

 上記の部分までを記した後、就労支援センターで相談に乗って頂いた職員さんに電話でお話を改めて聞いて頂いたのだが、それでアドバイスを頂戴出来た事で気分はかなり晴れたので、この件についてはこれでおしまいである。

『また気を取り直して、ここや他を更新していきたい』

と決意する幽冥牢であった。

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