君に名は。

【前回までのあらすじ】

 夜食を買いに出た先で、突如アウトロー気取りの酔っ払いの中高年に目を殴られた幽冥牢ゆめろう

『おのれ酔漢、全くの赤の他人の、それも目を殴るとは何事か!』

と思い、更に服も破かれ、靴も壊されるが、何とか取り押さえ、男を止めようとしていた連れの男性に示談金の一部はもらったものの、帰り道で犯人の家が超近隣みたいだという事が判明、こちらはほぼ家バレしてしまうわ、しかも相手の家ははっきり分からないわでぐぬぬ気分は晴れなかった。

 しかも暴れようとしていた犯人を取り押さえていた所にお巡りさん登場で、事情聴取では、あったままを話したのに、相互暴行扱いにされてしまう。

 結局一番マシな対応をしてくれたのは別の警官と、連れの男性であった。勿論、犯人の名前など分からない。ポストに名前は出していないので、相手にもこちらの名前は分からない事を祈るばかり。


『早急に病院でメンタルケアを受けた方がいい』

とのケースワーカーさんのお言葉に従い、明日は病院へ。あったままを吐き出して来るつもりである。発症して11年、せっかく最近落ち着いて来ていたうつ病もぶり返し気味であり、まさに踏んだり蹴ったり。


 そんなあれこれを前にしつつも、

『今年は盛り返して行くぞ!』

と、一人、拳を握り締める幽冥牢であった。

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