第129話 財務大臣の私情

旧アクザリエル帝国の帝都を中心に作られた城塞都市は、アヴァクル要塞都市と名をつけられた。そこへリエナとミホシを連れたリュジャナが到着した。すぐに裕太の元へとやってくる。

「お父様! お元気で何よりです」

「リエナも元気そうでよかった。ミホシとリュジャナも無事で何よりだよ。襲撃されたと話を聞いた時は心配で仕方なかったよ」

「強い方々が護衛についてくれてましたので問題なかったわよ」

リュジャナは少しも動じることもなくそう答える。彼女の性格から見ると、襲撃時にも顔色ひとつ変えなかったんだろうな・・


その日は彼女たちと夕食を楽しみ、そのあと、リュジャナをそっと呼び出した。もちろん、ガチャを回させて欲しいとお願いする為なのだが、彼女は何を勘違いしたのかすごい格好で部屋にやってきた。


「・・リュジャナ・・いやに薄着だね・・」

「き・・今日は暑いから仕方ありません! それより何の用なのよ・・」

少し赤い顔でそう聞いてくる。

「いや・物は相談なんだけど・・ちょっと余裕も出てきたと思うんだよ。なので召喚とかでききないかなと・・ダメかな・・」

控えめにそう言ったのだが、彼女は顔色を激変させて何かすごく機嫌を悪くする。


「もう・・空気読みなさいよ・・女がこんな時間に男の部屋にやってくる意味くらい考えなさいよね・・」

あまりにも裕太が鈍感なので、思わずそう言ってしまう。それでも状況がわからないこの男は間抜けな反応をする。

「・・ご・・ごめん・・」


リュジャナは呆れるのか諦めたのか深いため息をついて、こう答える。

「まあ、かなりの財政的余裕が出てきているので多少ならいいけど・・どれくらい使いたいの」

「オリハルコン硬貨を千枚とミスリル硬貨を10万枚ほど・・・」

「・・・まあ、それくらいならいいか。ちゃんと元取るのよ」

よし! 夢の10連ガチャが引けるぞ! 一度あの大きなレバーを引きたかったんだよな。ミスリルは新ガチャに使用する予定である。何が出るか楽しみだ。


用事が終わったので帰って欲しいのだけど、リュジャナがなぜか帰らない。椅子に座ってお茶を飲み始めた。ちょっと不機嫌な顔をしているので、出て行ってくれとも言えずに、とりあえず隣に座る。


「で・・どうなの」

ボソッとそう話しかけてくる。どうなのと聞かれてどう答えていいのか・・

「まあ、ぼちぼち・・」

適当に答えると、リュジャナは怒ったように言ってくる。

「あのね、今、ここに私がいる理由を考えなさいって言ったのよ。ちゃんと考えた?」

「はあ・・・」

リュジャナが何を言いたいのか全くわからない・・・怒りながらなぜか俺に体を近づけてくる。そんな行動に戸惑った反応をしていると、吹っ切れたのか起こったのか、ストレートにこう言ってきた。

「もう。私を抱く気があるのか聞いてるの!」

「え!」

えと・・そんな事考えた事なかった・・リュジャナのことは嫌いじゃないし・・俺も正常な男としてそういう事に興味がないわけではない。だけど・・やはりそう考えてると夢子の顔が浮かんでくる。


少しの沈黙の時間が流れ、その場が停止する。だけど、ここはリュジャナの意思を尊重しなきゃいけないよな・・そう思い切ると、彼女をそっと抱き寄せる。リュジャナはその瞳を閉じて俺の行動を待った。薄着の胸元から美しい乳房が見える・・そんなの見たらもう我慢できないよな・・


だけど、そんな覚悟の行動をすべてリセットするように、俺の部屋をノックする音が響く。こんな時間に何だろうと出ると、そこにはリエナが立っていた。

「お父様・・今日は一緒に寝たいの・・」

リエナは本当の父親のように俺を慕ってくれている。久しぶりに会ってよほど嬉しいのか、そう言って部屋を訪ねてきたようだ。


いい雰囲気だったけどリュジャナは子供には勝てないと思ったのか、そっと部屋を後にした。部屋を出る時、俺の耳元でこう言ってくる。

「次は抱いてよね・・・」


う・・彼女の積極的な行動に、顔が赤くなる。まあ、今日はリエナとの時間を大切にするとして・・次、彼女とそんな機会があったら俺はどんな行動をとるんだろうか・・

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