第128話 新ガチャ登場
クラスの間で、オリハルコンの高騰が問題になってきていた。今やミスリル硬貨10,000枚でオリハルコン硬貨1枚の交換率である。これはさすがに高騰しすぎである。
委員長の
「なのでオリハルコン硬貨が高騰して困ってるんです」
「なるほどな、確かにお主らにはオリハルコン硬貨だけに重要が集中しておるからのう、そうなるのも当然じゃろ」
「神様。どうすれば良いですか」
山田がそう聞くと、神様は少し考えると、ある提案をしてきた。
「ならば、ミスリル硬貨にも価値を出せばよかろう」
「と言いますと・・・」
「ミスリル硬貨を使用しての武具召喚を実装するぞ」
「武具召喚?」
「そうじゃ。今は人がいなくなったワシの管轄の別世界で、大量の魔法装備や神具が放置されているののじゃ。それをこの世界へと召喚できるようにシステムを作ろう。その対価をミスリル硬貨・・そうじゃのう、100枚でよかろう。神具の中には一つで戦局を覆すような強力な物もある。ミスリル硬貨100枚なら、皆、召喚するじゃろう」
「ナイスアイデアです神様。ですか・・金貨の価値が暴落しそうですけど・・」
「金はミスリルやオリハルコンと違って埋蔵量が桁違いに多い。多少価値が下がっても問題ないじゃろ」
こうして、俺たちに新ガチャが実装されることになった。このことは第三回クラス会で発表された。
「その装備ガチャは、いつから使えるようになるんだ」
やはり戦力アップに興味があるのか、不動がそう聞いてきた。
「すぐに実装されるそうだ。ステータス画面に項目が増えるそうだから確認するといいよ」
「武具のガチャね・・そんなの本当に役に立つのか・・」
黒崎が疑わしい顔でそう発言する。
「別に気に入らないならやらなきゃいいだけだろ」
黒崎と敵対している村瀬が刺々しくそう答えた。
新ガチャに対してはみんな反応がバラバラだ。歓迎する者もいれば、あまりよく思っていない者もいる。歓迎していないのは中央七大国の連中だった。
「ミスリルの価値が上がるってことは、オリハルコンの価値が下がるってことでしょ。オリハルコン鉱山を持つ私としてはあまり嬉しくない話ね」
雛鶴はオリハルコン鉱山があるおかげで、莫大な利益を上げていた。今回の新要素はミスリルが多く産出する東方にとっては有利かもしれないが、オリハルコンを多く産出する中央にとってはあまり歓迎できない話であった。
「まあ、みんな、それぞれ考えがあるかもしれないけど、とりあえず新ガチャをやってみないことには始まらないからね」
委員長の言葉に、みんなうなずく。確かにやってみないとなんとも言えない。
「しかし、裕太にとっては関係ない話だよな。ミスリルすらそれほど持ってないだろ?」
義之はいやらしくそう言ってくる。
「ふっ・・いつまでも俺がそんなにビンボーだと思うなよ! 辺境を統一して、今はそこそこ裕福だぞ」
「いやいや辺境統一したくらいじゃ、大したことないだろ」
「辺境なめんな!」
「俺はオリハルコン硬貨10万枚の貯蓄があるが・・裕太はどうなんだ」
義之が自分の経済状況を説明し始めた。オリハルコン硬貨10万だと・・・こいつお金持ちだな・・
「まあ・・そうだな・・そこまではないけど・・近いくらいはあるぞ・・」
「ふっ・・・近いとはどのくらいだ!」
「・・・・一万・・」
「ははははっ。俺の十分の一ではないか! どこが近いんだよ。ほら、辺境なんてそんなもんなんだよ」
「ぐっ・・・貴様・・バカにしてるな!」
「バカになんかしてねえよ。事実を語ってるだけだ」
「い・・今に見てろよ・・」
しかし上には上がいるもんである。商業国家であるミスティアの女王は、彼氏のそんな出鼻をくじく。
「私の貯金はオリハルコン硬貨で百万枚は軽く超えてる」
そして中央七大国の大富豪国家の一つであるアルフレッカ法皇国の法皇女はさらにその上をいく。
「数えたことないけど、私財だけでオリハルコン硬貨二百万枚は持ってるよ」
・・・・・・なんだよこいつら・・ちょっとは貧富の差が埋まったと思ってたたけど・・義之も呆然として無口になった。まあ、こいつが黙っただけでもよしとしよう。
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