第124話 覇者の行軍
ローダ王国とルフス王国の援軍を加えても、ザンカーリ帝国側の戦力は、七十万ほどであった。一方、ボルティロス軍は百五十万近くを維持していて、その戦力差は倍にまで広がっている。
制空権を完全にボルティロスに握られ、ザンカーリは圧倒的な劣勢を強いられていた。空からは、炎や魔法弾、雷撃などが容赦なく降り注ぎ、地上は巨大なモンスターたちに蹂躙された。
ローダとルフスの魔物の軍が、戦況を挽回する為にボルティロスの魔物の軍勢に突撃してきた。十万近い魔物の軍勢はさすがに迫力があるが、ボルティロス軍に現れた巨大な影に、まさに一撃で半壊させられる。
黒い影から放たれた、漆黒の衝撃波は、魔物たちを溶かすように消滅させた。
「なんだあれは・・・」
ザンカーリとローダ、ルフスの兵たちは、その存在に異様な恐怖を感じる。
獄炎の魔王の称号を持つその者は、ジラタブリルという名を持っていた。魔王の中でもその破壊力は飛び抜けており、まさに死を振りまく怖の存在であった。
しかし、魔王に蹂躙されるローダ、ルフスのその魔物の軍勢の中にも、強力な魔物も存在した。レアリティUR+のギガ・トールドラゴンである。ギガ・トールドラゴンは魔王の攻撃に耐えると、口から青白く光る雷撃のブレスを放った。雷撃のブレスは魔王に直撃する。激しい稲光が発生して魔王に雷撃とブレスの熱射によりダメージを与える。だが、ヒドラを瞬殺するそのブレスの一撃でも、獄炎の魔王の防御障壁を破ることはできなかった。魔王は加速してギガ・トールドラゴンに接近する。そして驚くことにドラゴンの首を手で掴むと、そのまま引き千切った。
ティーロンの巨神でも、簡単には引き千切ることなどできない、頑丈な体を、魔王はまるでおもちゃのように扱う。引き千切られた首から、大地を震わすような叫び声をあげて、ギガ・トールドラゴンは息絶えた。
そのまま獄炎の魔王は、敵の魔物の軍勢に向けて、強烈な繰り返す。それは魔物が全て息絶えるまで続いた。
ザンカーリ、ローダ、ルフスの人の軍も、ボルティロス軍からの、休みない攻撃を受けてその数を打ち減らしていた。
地上の魔物の軍勢がやられると、ローダ、ルフスの軍は撤退を始めた。さすがに勝ち目がないと判断したのだ。しかし、時すでに遅かった。要塞ドナブラを含めて、すでにボルティロスの包囲は完成していた。すでにどこにも逃げる道は残されていなかったのだ。
撤退もできなくなったローダ、ルフスの軍は、崩壊寸前の要塞へと逃げ込んだ。すでに城壁もほとんどボルティロスに制圧され、城門も壊され、すでに防御能力は失われていたが、外で大軍に包囲されて戦うよりはマシであった。だが、ボルティロス軍はすでに要塞内にも多くが入り込んでおり、要塞内では激戦が繰り広げられる。まさにそこは死の安売りをする市場とかしたのだ。
要塞の奥にある特別強固に作られた建物に、要塞の指揮官が一万の兵と立て篭っていた。そこの建物に入るには細い通路を通る必要があり、そこの通路では激しい攻防が行われていた。まさにザンカーリ帝国軍の最後の砦となっている。
細い通路により、大軍をそこへ投入することができない。なのでボルティロス軍はその場所に、死神と呼ばれる部隊を送った。
死神は死を恐れず、相手に確実なる死を届けるボルティロスの決死隊であった。100人と決して多くない部隊であるが、その戦闘力は一万の兵にも勝る。
死神が通路に入ると空気が変わる。ザンカーリの防衛隊はその空気に恐れて怯えた。それは自らの死を予感してのことであったかもしれない。
死神が来て、その通路では戦闘が無くなった。そしてただの殺戮が始まったのだ。100人の死神たちは、圧倒的な力でその通路を突き進み、そしてそこを制圧した。死神の後を追ってボルティロスの制圧部隊が突入する、その数、五万。まさに、ザンカーリのトドメを刺す最後の一振りであった。
要塞のザンカーリ軍の指揮官を討ち、ローダ、ルフス軍も殲滅させた。この戦い、ボルティロス軍の完全な勝利であった。
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