第123話 最強の軍団

不動の目の前には、10連ガチャ100回分のモンスター軍団が並んでいた。一番の当たりは、レアリティLR+EX、神激レアの獄炎の魔王・ジラタブリル。それに続く当たりで、三体のUR+EXである魔神オティウス、雷帝シフーヌア、鬼神羅刹と強力なユニットが並ぶ。さらに13体のURと無数のSRがそれに続く。さらにレアリティRだけの編成で一万の軍勢を作り出していた。


「時は来た。これより、我らボルティロスは、東方の統一に乗り出す」

不動がそう宣言すると、家臣や魔物の軍勢が響めき立つ。


現在のボルティロスの総兵力は二百万まで増強されていた。さらに魔物の軍勢は二十万と大幅に増強されている。


すぐに先の戦いで、屈辱の撤退を余儀なくされた宿敵、ザンカーリ帝国へと進軍を開始した。その兵力は百五十万、魔物の軍勢は二十万とそのほとんどの戦力を投入していた。なんの策もなく、ただ強力な軍勢の力で直進するだけの戦略であった。


進軍が始まると、それはまさに電撃作戦であった。ザンカーリは二十万の兵を、オルフナに展開していた。硬い要塞で待ち構えているザンカーリの防御を突破するのは容易ではないと思われていた。しかし、その予想は大きく外れることになる。


まさに突風のように現れた魔物の飛行部隊に、要塞の兵器はすぐに破壊される。ゆっくりと歩みを進めるボルティロスの軍勢が、要塞の城壁に到達した時にはすでに防衛能力は大幅に減少していた。


ティーロンの巨神に門を破壊されると、無数の軍勢が雪崩れ込んで行く。もはや抵抗することもできずにザンカーリの守備隊は圧倒された。


ボルティロスは1日でオルフナを陥落させると、すぐに軍を進めて、次々と拠点を攻略していく。前の侵攻の時より遥かに早い速度で進軍していた。


そしてザンカーリも本格的にボルティロスを叩くために軍を集結させていた。それは帝都の手前、ザンカーリ最大の要塞ドナブラであった。その兵力は八十万。ほとんど全軍に近い兵力が集められていた。


「ボルティロスは百五十万の大軍との情報がある・・八十万では守るのは難しいかもしれん・・すぐにローダとルフスに援軍の要請をしろ」


ザンカーリ皇帝マティウスは、宮田信二みやたしんじ須賀直之すがなおゆきに使者を送り、援軍を要請した。それは当然の選択であり、唯一生き残る道に思われた。


だが、ボルティロスの進軍は思いの外早く、援軍の到着より先に要塞ドナブラへと到着してきた。


「援軍が来るまで、なんとか守り抜くのだ」


鉄壁の要塞を守りを固めて戦えばそう簡単には陥落などしない、そう考えていたが、それは甘い考えであった。


前の侵攻の時より数も質も上がった魔物の飛行部隊は、強烈な対地攻撃を休みなく浴びせかける。地上部隊は、防御力の高い大型ユニットを無数に前衛に配置して、すべての攻撃を受け止める。そして機動力と攻撃力のある魔獣の軍団が殺戮を振りまいた。


人間の兵も負けてはいなかった。優秀な将軍に率いられた軍団は、策略と戦術を駆使して、確実に敵を打ち減らしていく。魔物の戦闘力をうまく利用して、なるべくその被害を最小限に抑えていた。


ローダ王国とルフス王国からの援軍が到着した時には、要塞ドナブラは陥落寸前であった。さすがの劣勢の状況に両国の援軍も焦りを見せる。


ローダ王国の援軍は、二十万の兵と、魔物の軍勢が五万。ルフス王国の援軍は三十万の兵と、魔物の軍勢が五万と、通常であれば十分大軍と言える兵力であった。しかし、要塞が陥落寸前のこの状況を覆すほどの兵力かと言われれば微妙であった。


しかし、このまま戦わずに撤退するわけにもいかない。ローダ軍とルフス軍は要塞の西側で合流すると、ボルディロスへと攻撃を開始した。


ボルディロスの飛行部隊を、ローダとルフスの飛行部隊が強襲する。しかし、ここで魔物の軍勢の質の差が露骨に出てきた。ボルディロスの飛行部隊には、敵の飛行部隊を一掃するほどの強力なユニットが紛れ込んでいた。雷帝の名を持つその魔物は、強力な雷を無数に放出して敵の飛行部隊を次々に撃ち落としていく。


数でも圧倒されて、ローダ、ルフスの飛行部隊は早々に全滅した。






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