TNlA_03: 煮込みハンバーグシチュー定食、大豆、他。

 城南大学、史料編纂室より。

 一日中、敷地内を犬がうろつく。

 吉田が新しい電気ポットの購入を申請。保留中。



■He_02:煮込みハンバーグシチュー定食

「どれにしようかな」

 駅前のファミレス。彼女はメニュー表のスマペ(smart paperの略。軽量で柔軟性のあるディスプレイ搭載の端末)に指を滑らせながら呟いた。

「何でも食っていいぞ。給料入ったからな」

 僕はそう言うが、インターンシップの給与など子供の駄賃といったレベルだ。実家暮らしだからこそ、こういう見栄も張れるが、そうでない同期は生活自体が大変だろう。現場で親しくなった高田とバンデュラに、心の中で謝る。

「そっちが何でも良くても、こっちは何でも良くないんだよね……」

 彼女の手元を見れば、カロリー表示の部位がピンチ操作で拡大されては縮小されている。

「俺はあんま気にしないけど」

 僕が何の気なしにそう言うと、彼女が視線をメニューからこっちに移してきた。

「それどういう意味」

「意味って……」

 返答に詰まる。彼女は無言でメニューに視線を戻した。

「ステーキミックスグリル頼むね。Aセットでドリンクはカルピスソーダ」

 結局、カロリーへの懸念は何処かに捨て置かれたようだった。メニュー上のボタンをタップしてオーダーリストに追加する。

 気にしないと言った手前、ツッコミを入れるのも野暮だ。僕は「いいの頼んだなー」などと適当な事を言いながら、自分のオーダーを入れる。

「何頼んだの」

「煮込みハンバーグシチュー定食」

 注文確定ボタンを押す。メニュー表には「ご注文ありがとうございました」と表示され、初期画面の店名ロゴマークに戻った。

「いつもハンバーグだよね。ハンバーガーとか、ハンバーグステーキとか、ハンバーグカレードリアとか……ハンバーグ星人なのかな」

「何それ……」

「ハンバーグ星から来たハンバーグ星人」

「ねえよ」

「宇宙は広いから、ハンバーグで出来た星くらいあるよ」

「だからねえって」

 ハンバーグ星なる不可解な架空の惑星について議論している――地面を掘ると肉汁が湧き出すので、それが地球における化石燃料と同じ役割を果たしているとか――うちに、ウェイトレスのニーディ(NeEDHe/New Era in Domestic Helper。扇花電機製のアーティフィシャロイド)が注文の品を運んできた。

「お待たせ致しました」

 言って、ニーディがテーブルに皿を置く。

「鉄板が熱くなっておりますのでご注意ください」

 ニーディが定番のフレーズを喋る。僕たちはナイフとフォークを取り、しばらくは黙々と料理を食べた。

「でも実際、宇宙人になっちゃうんだからね」

「それ差別発言」

 彼女の不用意に発した言葉を制する。悪意が無ければジョークで済みはするが、地球外居住者(特に地球外出生者)に「宇宙人」や「エイリアン」などと言うのは差別発言の一種だ。

「どうしても行かなきゃダメなの?」

 不服そうに彼女が言う。

「そんなに俺に居てほしいか?」

 こう返したら彼女は照れるかと思ったが、むしろジト目で睨んできた。

「まあ、ねえ。仲よくて、付き合い長くて、宿題を手伝ってくれて、ご飯も奢ってくれるような友達がオーデリアに行っちゃうなんて、寂しいじゃん?」

 視線を鉄板に落とし、ステーキミックスグリルに含まれていたエビフライを一口齧って言葉を続ける。

「リモートじゃダメなの? 今みたいにさ」

 インターンシップには、オーデリアのロボットをリモート操縦して務めている。基本的にはそれで充分だ。しかし。

「VRセンサリー着けてVRスキン着てさ、そうすれば殆どオーデリアに居るようなもんだけど、実感として宇宙を感じてみたい……かな。

 やっぱり、違うんだよな。大抵の事はセンサリーで体感できるけど、やっぱり体感と実感って違うと思うんだよ」

 言いつつ、小学生の頃を思い出していた。長い坂道を自転車で突っ走り、そして盛大にコケた。VRアクティビティは世に数多有り、超音速かつ生身で空を飛ぶ感覚を味わえるものや、マゾヒスティックな痛覚を味わえるものもあるが、しかしあの時のリアルな風の感覚や骨折の痛みは、どんなに出来のいいVRアクティビティとも違う。

「逆にさ、君だってオーデリアに行ってもデザインの勉強は続けられるんじゃない?」

 僕が何の気なしにそう言うと、彼女が再度ジト目で睨んできた。

「それどういう意味」

「意味って……」

 どうにも参った。



■Ne_03:クラウドエンプロイ

 クラウドソーシングは、不特定多数に労働力支援を得る手段や、フリーの専門家へ簡単にアプローチできる方法として期待されていたが、そういったものはほんの一部分で、実際のところは早々に日雇い労働者を業務単位で調達するための手段に成り下がった。そういった日雇い労働者は、クラウドエンプロイとかインスタントワーカーとか呼ばれており、俺もその1人だ。

「じゃあ、あと、よ、よろしく」

 彼は、俺に聞こえるか聞こえないかくらいの声量でボソボソと言うと、乗ってきたトヨタのエルエース(小型バンの電気自動車としては最もポピュラーなもの)へと戻っていった。

 彼の今日の仕事は、12kgサイズのLPガス容器と同じくらいのタンクを2つ、指定された貸し倉庫まで持っていくこと。何も考えずにそれだけすれば、ガキのバイト代より少ないものの、明日の飯にありけるくらいのヴァレンシー(virtual currency。仮想通貨)が手に入る。

 もし彼が途中でタンクを横領したり、何か嫌になったりしてタンクを届けなかったら、それを受け取るはずの俺が届かない旨を発注元に連絡するので、彼への支払いは取り下げられて、彼のアカウントは削除される。

 もしタンクが届かないにも関わらず、俺が情けを出して発注元に連絡しなかったら、次のクラウドエンプロイが滞りを発注元に連絡するので、俺がヴァレンシーを貰えなくなって、アカウントを削除される。だから俺は情けなんかかけないし、もちろん自分の仕事はちゃんとやる。

 この、いわゆるワーカーチェイン(労働者で出来た鎖……という意味だが、労働者達を繋ぐ“首輪の”鎖という侮蔑的なニュアンスが強い)は単純ながら、個々のクラウドエンプロイとソーシングシステムが1対1で繋がっている事を上手く利用した現場管理メソッドだ。

 そして今日の俺の仕事は、指定の貸し倉庫で待機して、持ち込まれたタンクを、幌が掛けられた何かの機械に装着すること。ガスボンベ用の台車にタンクを載せて、機械の元まで持っていく。タンクはやたら重い。

 幌の一部はめくられており、そこから懸架装置のフック付きワイヤが垂れている。幌をめくって装置の準備をしたのも別ラインのクラウドエンプロイだろう。タンクの留め具にフックを掛けて、装置の引き上げボタンを押す。

 タンクがゆっくり引き上げられる。タンクの表面はメーカーや内容物を示すペイントが削り落とされていたが、似たものを以前見た覚えがある。当時の俺は、エルエースに乗って東京市の町工場を回り、弁当を配達していた。あの頃は非正規雇用にしろ、もうちょっとマトモな生活を送れていたし、当時の女とバンド活動も……いや、この話はいい。

 このタンクは、町工場によくある3Dプリンタ用のメタルインクとよく似ている。しかし、この機械が3Dプリンタだとは思えない。3Dプリンタ以外でメタルインクが必要な装置と言えば、思い浮かぶのはアモプリンタの弾頭生成部くらいだ。

 もしこれが弾頭用メタルインクだとすると、この機械は何だろうか。大きさや形状から考えると、戦車や装甲車では無さそうだ。すると、軍用多目的多脚車両か、二足歩行式の大型パワードスーツ、それか無人戦闘攻撃機……どれにしたって、横浜の貸し倉庫にあるはずの物ではない。

 伸びたラーメンをゆっくり啜るような音を立ててメタルインクが本体に吸い込まれていく。それとは別方向から、微かなモーター音が聞こえた。俺は不意のそれにビクついて、音が鳴った方向を見る。

 幌で覆われた機械の上部、軍用多目的多脚車両か無人戦闘攻撃機ならセンサーモジュールがありそうな位置。

 センサーモジュールのカメラが動いて、俺を見た……ような気がする。俺からは幌に遮られて実際のところは分からない。しかし軍用ロボットのセンサーモジュールだったら、赤外線カメラなどでこちらを透過できるだろう。

 俺は努めて冷静に、何が何だか分かってないという風を演じて、2個目のタンクを取るために引き返した。これが日本国衛軍の秘密作戦に用いられるものでも、テロに使われるものでも、俺には関係ない。課された仕事を何も考えずにこなし、何も詮索しなければ、今日のヴァレンシーは支払われるし、明日の仕事も得られるだろう。

 何も考えずにこなし、何も詮索しなければ。何も考えずに。



■Ar_03:大豆

 次のニュースです。

 オーガニックフーズエンハンサー社が所有する熊本県の大規模モドップス(modops/genetically modified crops。遺伝子組み換え作物)農場において、熊本県警による強制捜査が行われました。

 同農場では、以前から住み込みで働いている従業員の食事に同農場で栽培された大豆が用いられているという疑いがあり、警察および企業警察による捜査の申し入れが何度も行われてきました。しかし、オーガニックフーズエンハンサー社は機密保持を理由に一切の立ち入りを断っており、今回の強制捜査は停滞した捜査状況を打破するためと見られています。

 同農場で栽培されていた大豆は、主に生分解性プラスチックやバイオ燃料の原料となる「アンテプラス」という品種で、害虫や除草剤への耐性が強められており、食品での利用は家畜用の飼料を含めて認可されていません。開発元でもあるオーガニックフーズエンハンサー社の公式サイトでは「毒性は無いが、アレルギー反応や消化不良のおそれがある」と表示されているほか、イギリスでは環境・食糧・農村地域省が「発癌性を有する」や「既存の作物に遺伝子汚染の恐れがある」として、同国内での栽培を禁止しています。

 オーガニックフーズエンハンサー社は、当番組の問い合わせに対して「重大な責任を感じているが、管理していたのは当社からの委託を受けた村田農業管理組合であり、直接的な責務に関してはそちらに聞いてほしい」と回答しています。

 村田農業管理組合から公式な声明は出されていませんが、同社の村田良和社長は「従業員が農場の商品を勝手に食していただけであり、当社はむしろ資産を横領された被害者で、責任を問われるのは甚だ遺憾である」と、メタソーシャルサービス・Whispyで発言しています。


 続いては最新バイクのニュース。加速ロケットを搭載したフローターバイクによる12人死傷事故を受けて、規制を強化すべきか否かの論争が続いています。



■Kr_03:Wasteland Children

 日本信託統治領、高麗州。

 かつての戦争の後処理において、アメリカ(旧・アメリカ合衆国。現・アメリカ共和国および新アメリカ自由国およびアメリカ民主自治区)が西側と東側の緩衝地帯とすべく掌握し、そして日本に管理を押し付けた土地。しかし領土拡張や核武装などに対して無責任でいることで成り立っていた日本ゆえに、政治的進出は最低限に留まり、ほぼ戦後のまま放っておくに任された。

 その荒野を、ボストン・マッスル社製の大型4足ロボット「ウォードッグ」が2台並んで走り、荷車を引いていた。荷物の重量にもよるが、この獣道すらない場所では比較的効率がよい。

 政治的措置が放棄されたうえ、超国家企業が物資や金銭の流通を掌握し、国家の枠組みが形骸化した現在、鉱物資源も乏しく農業にも向かないこの一帯は、「単なる荒野」以外の何物でもない。だが、だからこそ住み着いた者達がいた。

 ライフル弾の連射が走り、左側のウォードッグの背に一発が当たった。2台のウォードッグはフレキシブルアームで支えられたセンサーユニット……要するに首を上げて周囲を見回し、「敵は不明だが攻撃を受けた」と判断した。荷台に乗っていた少年は、「뭐(mwo)!?」と驚きの声を上げる。

 この土地に残されたのは、時代の変遷から取り残された者――民族主義者たちだった。しかし限られた生活資源を巡って諍いが起こり、そのうち武力闘争が、より細かい民族区分を堺として勃発した。さらには超国家企業が介入し、傘下の民間軍事警備会社を通して彼らの生活と戦闘を支援する。ウォードッグは、そういった企業からリースされたものだ。

 ウォードッグは、荷車の牽引ケーブルをパージすると、起動した帰投プログラムに沿って一目散に走り出した。後には荷車と少年が置き去りにされる。荷車の積荷を失うことは損失だが、その何千倍も高価なウォードッグはリース元の企業にとって最優先に回収すべき資産だったし、逆に少年はほとんど無価値だった。

 少年は、古びれた硬質プラスチック製の突撃銃(ガンズアンドロジスティクス社製のSS-6)を抱えて荷車から降りると、既に遠ざかったウォードッグの尻を呆然と見た。

 銃声が再度轟き、今度は少年の胸が撃ち抜かれた。少年はもんどりうって倒れ、乾いた砂がどくどくと溢れる血を飲み込んでいく。

 その様子をAK(かつてAK-47と呼ばれた突撃銃の近代改修版)にマウントされたスコープから覗いて、射手である浅黒い肌の少年――死んだ少年よりも幼い――は、「baik(baiᵏ)……」と呟いた。

 何の資源も無いのに戦乱と、その消費に依存した経済と、それへの投資だけが渦巻くこの土地には、近隣諸国の食い詰めた人々が、民間軍事警備会社と戦闘業務委託契約を結んだフリーランスの傭兵として多数流入していた。ただ、流石に未成年との正式な契約が交わされることはないはずなのだが。

 殺害の様子をAKの銃身下に据えられた4800万画素の安価なマイクロカメラが撮影する。中古の携帯電話を再利用した制御システムが、この荒野でもどうにか通じる第4世代移動通信システムの回線を通してクラウドネットワーク上の傭兵管理システムへ写真を送った。傭兵管理システムは受信から1秒とかからず、死んだ少年がライフルを持っていたことからゲリラであると認め、殺害報酬のヴァレンシーを射手の口座に振り込んだ。

 射手の少年は中連(中華連邦。旧・中華人民共和国)製の携帯電話をポケットから取り出し、口座引き落としでピザを注文した。クリスピー生地のビッグペパロニ&ソーセージをチーズ増量で。あとコーラも。

 注文画面には、「Your order confirmed. Mr. Dmitri Korneev. Thanks!」と表示された。ドミトリ・コルネーエフ……ロシア系の人名だが、少年は顔付きも体格も肌の色も、東南アジア系のそれだ。

 死んだ兵士から機材一式を盗み、なりすまして傭兵支援プログラムに寄生する。この土地で親を喪った子供達の常套手段であり、彼も、彼に殺された少年も同様だ。

 15分ほどして、携帯電話のGPSを頼りにピザハットのクアッドコプターが飛んできた。やっとありつけた獲物、そして2ヶ月ぶりに食べられるピザ。少年はワクワクして待った。

 クアッドコプターの小さい機影が見えてきて……それが、突然墜落した。

 少年は思わず立ち上がり、そして迂闊を悟ったが、その一瞬後にはライフル弾で頭蓋を砕かれていた。


 さらに10分ほど過ぎ、冷めたピザに一人の女が喰らいついていた。彼女は少年達よりも年上だったが、それでも20歳には達していない。

 ピザの半分を食べると、それが収まっている紙箱の蓋を閉じてナップザックに放り込む。続けて、すでに蝿がたかり始めた少年達の死骸を漁り、ライフル弾と安物の拳銃、僅かな日本円の硬貨を懐に収めた。

「ああ、クソだね。本当に、クソッタレだ」

 吐き捨てるように言うとナップザックを背負い、煙草を一本咥えて火を着け、首に掛けていたヘッドフォンを被る。

 乾いた風が吹き抜ける中を歩きながら、ぐびぐびと喉を鳴らしてコーラを呷った。



■Xe_03:扇動

 昔は大変だったと聞くよ。

 あたしの爺さんの、もっと爺さんの時代さ。

 当時、民衆をコントロールするには架空の状況をでっち上げなければならなかった。有名所なら、ロズウェル、フィラデルフィア、そしてケネディ。いずれも真実とは異なるフォークロアが作られ、流布され、そして後に別の問題を引き起こしたりもした。

 今は、みんなパソコン(個人用のコンピュータでなく、オンラインで利用するパーソナルアカウントに紐付けられた仮想コンピュータの意)から情報を見る。

 パソコンで怖いのがね、いや、あたしが怖いって言うのもナニだけど、フフフ、情報ソース自体を操作しなくても情報操作を行えるってことね。視聴履歴から興味のある情報と関心がある傾向を判断して、それに沿った情報をニュースサービスやソーシャルサービスで見せてやればいい。メディア自体には右翼も左翼も、回帰派も拡張派も載ってるけど、ユーザーが能動的に見ない限り、手元に届くのはパーソナライズされた特定範囲の情報ってわけ。

 だから、それを少しコントロールしてやる。回帰派を焦らせたいなら、シンスが暴れるぞ、スペグが奪うぞ……そんなトピックスを、不自然じゃない程度に増やすのさ。そうすると、回帰派のデモ活動が増える。単なる推論じゃなくて、実際にやって、そうしてたの。

 あるいは、少しずつ扇動したい情報を混ぜていく。アマン原理主義者が移住してくるぞ、テロの件数が増えているぞ……ニュースサービスに表示されるのは「興味ある情報」だから、自然とユーザーが興味を持つようになるのさ。言うなれば、鐘が鳴ったら牛肉が出ると教え込んだ犬に、出てくる肉を少しずつ合成タンパクに変えてくようなこと。あたし達は「パブロフの犬の肉」とか、短くして「犬肉」メソッドとか呼んでた。

 今は本当に簡単になった。あたしが引退した後だけど、etml(emotion transitory markup language)なんかすごく便利ね。ニュース記事にetmlを埋め込むのは違法だけど、広告にetmlを埋め込むのは合法だから、難民問題のニュースページにはetmlコードが埋め込まれたゾンビ映画のトレイラー動画を出やすくさせたり、後輩のジュディはそういうことをしてた。

 今、自分の頭で考えて暮らしている人なんて、ほとんど居ないんじゃないかしら。あたし自身だって怪しいものよ。ああいう仕事をしてると特にね、「今の自分は本当に自分の意思で動いているのか?」って疑心暗鬼になる。それで旦那は自殺したわ。まあ、自業自得と笑ってちょうだい。

 で、最近の情報バイアスはね……見ていて正直、ゾッとするレベルよ。悪質とかそういう意味じゃないの。ここまでする意味が分からない。

 あたしはプロファイラじゃないけど、今の情報コントロールを行ってるのは、たぶん酷いサイコパスだって分かるわ。人間のことを全然理解していない。これじゃ逆効果になる部分も出てくるのに。


 私に分かるのはここまで……ところでお兄さん、今晩ヒマない? 沢山おカネをかけて、こんな全身義肢にしたんだけど、旦那が死んでから使う機会があんまり無いのよ。ねえ、どうかしら。

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