第6話
「ただいま~」
「おかえりなさい、あなた。」
「
「ぱぱ!おかえり~」
「おお~
玄関が騒がしくしているころ、
「
「どうぞ~」
「
「お父さんを玄関で迎えることくらいできるでしょう?」
「ごめん、今集中できてるの。その話はあとで聞くから。」
「・・・わかったわ。落ち着いたら教えてちょうだい。紅茶を淹れてくるわ。」
「うん。ありがとう。」
つい、そっけない返事をしてしまう。
別に、今の父親にあたる人物が嫌いというわけではない。
ただ、男という生物に嫌悪感しか抱けないのだ。
「どうして、こうなっちゃったんだろう。」
ため息をつきながら、少し休憩をしようと
母がいるリビングへと向かうのだった。
足を踏み
胴を造り
構え、起こし
引き会い、離れて
心を残す
「本日も宜しくお願いします。」
「宜しくお願いします。」
引き絞り、放つ。
無駄な力が入らないよう、繊細に神経を絞る。
狙いはただ、一点を貫くことのみ。
「・・・ッ!」
その細身からは想像がつかないほどの音を立てながら、狙い通りに的を射る。
周りからは、思わず感嘆の声が漏れる。
「最初から的に当てるなんてすごいじゃないか。君、本当に初心者?」
指導役の男子は感心しつつも疑念の声を挙げる。
「・・・・弓道は、初めてです。」
というのも、生徒の自主性を高めるため、顧問は依頼制となっている。
もちろん、教師側も断ることが可能である。
ただし、顧問が存在しない部活動の存続は認められていないため
生徒たちも血眼になって顧問を探すのである。
・顧問があまりやる気がない
・弓道場が校内にないため、部活動のできる時間が限られている。
・競技中に動くことが少ないため、体力が必要なさそう。
という理由からであった。
しかし、その目論見は見事に崩れ去った。
弓道部といえど、走り込みや筋トレを行う学校は存在する。
「ほら!あと腕立て10回!」
運動部に所属していた人であれば、誰もが一度は経験したことがあるだろう。
先輩からの無意味なシゴキだ。
自分たちも同様の扱いを受けたのだから、誰しもが通る道なのだ。
と、同時に、運動部独特の上下関係を強制的に植え付ける。
先輩の言うことは絶対であると。
そんな状態に嫌気がさし、部を去っていく人々も多い。
しかし、
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