第10話4人目の保有者
ーったく!アヤカのやつ!何で僕を信用しないんだよ!
でも、まあ確かに僕らは今日会ってたまたま共闘した仲…言ってしまえば他人だ。
アヤカが警戒するのも間違っちゃいない……ん?って事は、僕が人を信用し過ぎなのか?
辺りを見渡すともう日は沈み真っ暗だった。
街灯に照らされた道を僕は歩いていた。
時刻は……携帯を見ると20時23分と表示されていた。
うへぇ〜もうこんな時間か…そりゃ辺りも暗いよなぁ…
それにこんな所まで来ちゃったし…21時までに帰れるかなぁ…
コツコツコツ
気付いたら足音が反響していて、トンネルの中だと理解した。
うへぇ…よりによってトンネルかぁ…距離は5mぐらいか?
そんな事を考えてるとトンネルの出口に人影が立っている事に気付いた。
どうやらこちらを見ている?のか…?
なんだ?ヤンキーか?カツアゲでもされるのか?
そんな事を考えながらも何が起きてもいいように身構えながら僕は出口へと向かう。
よく見るとその人影は、フードを深く被っていて顔は分からなかった。
あと3m…2m…1m……横目で警戒しつつその人物に近づいて行く。
そして真横を通り過ぎ、何もなかった…と緊張を解いたその刹那
「ウェポンギア展…開!!!」
男の声でそう言った。
「くそっ!」
すぐさま振り向いたと同時にフードの男の左腕に展開された剣が僕に振り下ろされていた。
僕はすぐに後ろに飛びそれを回避した。
それと同時に
「ウェポンギア展開!!!」
僕も右腕に剣を展開する。
相手の剣を見ると僕のと同じ形で刃渡りも同じ長さのようだ。
ウェポンギアで被るって事あるのか!?
そんな事を考えながらも僕はフードの男を凝視する。
場所が場所なだけに周りに人は居なく、その事は安心した。
「君もシフォンに騙されてるのかい?」
僕はフードの男に問いかける。
だが、フードの男は何も言わず{にやり}と口元を歪ませる。
どうやら話し合いをする余地は無さそうだ。
フードの男は直進し剣を振るう。
剣のリーチは約1m…僕はそれを意識して後ろに飛ぶ。
鼻先ギリギリに刃が掠る。
だが、相手は横に薙ぎ払った反動で動けない。
「今だ!」
僕は着地と同時に右足をバネにして前に突っ込む。
「だありゃあああぁぁぁぁぁ」
そのまま左足でフードの男の腹を突くように蹴る。
ガシッ!
「なっ!?」
しかし僕は右腕で左足を掴まれた。
フードの男は再度口元を歪ませて、そのまま回転を始める。
「うわあぁぁぁぁぁ」
足を掴まれたまま回転され僕は無重力の世界にいた。
そしてある程度回転をした後
パッ
ドカァッ…ザザザ!!!
そのまま手を離され僕は地面に激突する。
「いっつぅぅ…」
ジャイアントスイングって初めてされたけど、こんなにダメージがあるのか。
でもパッションのおかげで擦り傷程度で済んではいるけど、これかなりヤバイぞ…
まるで僕が立ち上がるのを待っているかのようにフードの男は立ち尽くしていた。
くそっ!
そう思いながら僕は立ち上がる。
僕が立ち上がった瞬間、フードの男は瞬時にその場を移動して僕の右側に現れた。
「見えてるぞ!」
そう言って右に現れたフードの男に殴りかかろうとしたが、すぐに移動し今度は真逆の左側に姿を現した。
「くそっ!」
だが、すぐさまフードの男の動きに食らい付き左側を向いた瞬間、またフードの男は移動する。
まさかこの技!
そう思い前面に意識した途端
ドカァァ!!
「ぐはっ!!!」
ドン…ザザザ…
僕は強烈な蹴りを腹に食らい吹き飛ばされた。
今の技…間違いない…《《3視点からの輝き(
トライアングルブレイク)》》だ…
相手の2方向に移動しフェイントをかけ相手を混乱させ3方向目に一撃を穿つ技…
本来切り〆る所を蹴りにしたって事は、相当舐められているって事だ。
「ぐっ…はぁはぁ…」
まだダメージが残っていて動く事が出来ない。
に、しても何で雀蜂流の技を使うんだ?このフードの男は何者だ…??
コツコツコツ
フードの男が近づいてくる。
立ち上がらねばならないのに体は動かない。
このままじゃ…殺される??
フードの男は僕を見下ろし……笑った。
「ククク……ハーハッハ!!!」
ひとしきり笑って満足したのか、フードの男は僕を置いて闇の中に消えていった。
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