第4話忘れられない言葉

「うおおぉぉぉぉぉぉ!!」


真っ直ぐ突っ込み影人の前に移動する



スパッッ


先ずは1体

次は…!!



「見えてるよ!」


背後を狙う影人に対し振り向き様に


スパッッ



さあ、次は!?


右に2体、左に1体。

距離は―――右のが近い!!!



「だあぁぁぁぁぁ」


スパッスパッ!!



「後ろです!」

シフォンの声が響く。


「分かってる!!」


僕は瞬時に右へ移動する。

{ダン}と、先程まで僕が居た場所に影人が飛び降りる。

影人と僕の距離は2m…


「行ける!」


僕は右腕を構える。


「雀蜂流――」


そのまま真っ直ぐ影人に突っ込む。

影人も僕を捕まえようと構える。


タッタッタ


「――旋龍せんりゅう…」


シュッ


影人の前で僕は飛び跳ね空中で横に回転をする



「――ざああぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!」


そして回転しながら着地すると同時に影人を切り裂いた。


スパッッ!!!


これが雀蜂流奥義旋龍斬せんりゅうざんだ。

この技は相手に真っ直ぐ突っ込んで、そのまま相手を飛び越える程の飛翔をする事により瞬時に相手の視界から消え

相手が自分を見失ってる所に背後から一撃を与える技だ。

空中で横に回転する事により刃の殺傷能力を最大限に引き上げる事もできる。

回転しながら着地すると同時に刃を振り下ろすのが難しい技だ。(しかも回転する事によって目が回るのが弱点。まあ僕は慣れてるけど)



「これで終わった…?」

辺りを見渡すと先程は、薄暗かったのに今は夕暮れの紅色が辺りを満たしていた。

シフォンを見ると怪我もなく無事そうだ。



「なんとか倒せたわね」

そう言ってシフォンが近づいて来た。


「これ、どうやって戻すの?」


「黒兎君が警戒心を解いたら自然に石に戻りますよ」



その言葉通り{シュウウン}と音を立ててひし形の黄色の石に戻った。


「それにしてもあんまり驚かないんですね」


「えっ!?いや、剣術は実家の関係で習ってて真剣って見慣れてるから…」


「そうじゃなくて!石が変形した事です」


「あ、あぁ!驚いたよ!とても驚いてる」


確かに驚きはあったのだが、今はアドレナリンの影響なのか気持ちが昂ぶっていて驚く事が出来なかった。

それにやはり一度命を奪われているから緊張もあったし…



「この調子ならギアの回収も心配なさそうですね」


「えっギアの回収…?」


「あ、そう言えばまだ話の途中でしたね」


「悪魔達が本格的に活動を開始したんでしょ?だから僕は先程の影人を含め悪魔?退治もするんだと思ってますが…」


「そーです!大まかな内容は間違ってませんが、一つ困った事が起きたんです」


「えっ?」


「黒兎君が持ってるスターギアは全部で5つあるんですが、先日その内の4つが盗賊により盗まれました」


「えっ!?」


「その盗賊は悪魔です。スターギアは人間にしか使えませんので、悪魔達はスターギアに適した人間を見つけ出しそれを渡したのです」


「そんな事が…」


「既に1つのスターギアが人間の手に渡ってる事を知った悪魔は、それを手に入れるのを最優先にしてます。つまり黒兎君を狙ってると言う事です」


「えっ!?そ、それってつまり――」


「――そうです。命を狙われてると同義です!」



その言葉が僕の頭の中で反響する。

命を狙われる……それはアニメとかドラマとかそんな話だと思っていた。

僕は雀蜂流こそ会得してるが、それ以外は普通の高校生だ。

そんな僕が命を狙われてる……こんなに怖い事とは思わなかった。



「―――きっと大丈夫」


憐さんの言葉を思い出す。

そうだ大丈夫だ!

僕はスターギアの回収を頼まれたんだ。

つまりそれは、スターギア保有者が向こうから現れてくれるって事だろ…?

なら返り討ちにすれば良いだけだ……



「そうですよね?憐さん…」



こうして僕は夕方の事を{グッ}と噛み締めベッドの中で静かに眠りにつくのだった。

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