第3話スターギア
僕は2年前死んだ―――
その日は学校の帰りだった。
例の如く僕は色んな人に色んな事を頼まれ帰りが遅くなっていた。
冬を迎えていて夜7時ともなれば辺りは真っ暗で、寒いし早く帰ろうと普段は通らない近道を通ったんだ。
その近道は、所謂裏道で当然人は誰も居なかった。
風が吹き、ゴミが{カサカサ}と言うだけで{ビクッ}としてしまい、この道は間違ったな…と今更の後悔。
それでも後数分!と自分を鼓舞し前を進んだ。
その時だった。
立ち入り禁止の空き地に人影が見えたんだ。
真っ暗な中、勿論顔なんかは見えないが何か黒い者が動いてるのが見えた
なんだ?と目を凝らして見たらその黒い者の瞳は妖しく真っ赤に光り、なんか人間じゃないようだった。
まさか幽霊…??
この道は住宅街の少し離れた裏道と言う事で、表に出ればどこかしらの家に入れるのだが、その表に出るまでに走って2分ぐらいはかかるだろう。
ゆっくりと僕は後ずさる。
だが、不幸な事にその黒い影みたいな幽霊?と目が合う。
「う、うわああぁぁぁぁぁぁ」
そう叫び走り出した瞬間、その黒い影は僕の目の前に移動してきて―――
――僕はその黒い影に触れられ死んだ。
その後、不思議な場所に僕は足を踏み入れる。
地面は{ふわふわ}しており空は綺麗なブルースカイ。
ふわふわした地面は一見歩きにくそうだが、砂浜を歩くよりかは楽に歩けた。
遠くの方に建物が見えたから僕はなんとなくそこに向かおうとした。
そんな時に
「あれ?君は…?」
そう話しかけられたのだ。
驚いた僕は声の聞こえた方を向いた。
するとそこには、肩より少し伸びた金髪が特徴的で……バニーガール?の様な格好をしたとても綺麗な人が立っていた。
よく見ると背中に羽みたいなのが付いていた。
「ふむふむ…
どこから出したのか、いつ出したのか分からないけど、その変なお姉さんは本みたいなのを読んでいて驚いた顔で僕を見ていた。
「あの…お姉さんは…?」
先程、綺麗な顔立ちをしていたと言う理由で男の人を女の人と言ってしまったけど
このお姉さんはグラマー…って言うのか?胸がデカくて間違いなく女性の方だと自信を持って言えた。
「私は…私は天使!ゆらのんだお☆」
そう言って{きゃぴ}と可愛いポーズを取る。
天使?今天使と言ったか??
うさ耳の網タイツの格好の天使…??
「とりあえずキミに会わせたい人が居るの…会ってくれる?」
そうして僕は神様と呼ばれる人と出会い僕が死んだ事、ここが天国と呼ばれる場所の事、あの建物で輪廻転生を行なってる事、この場所の事を色々聞いた。
神様は見た目は小学生みたいだった。
本来は、大人の姿だったんだけど理由があってそんな見た目になっているらしい。
ゆらのんからは神ちゃまと呼ばれていた(その度に神ちゃまと言うなー!と突っ込んでいた)
「そしてここからが本題じゃがの…」
神様の面持ちが真剣なものに変わっていく。
よっぽど大事な話があるんだと僕は固唾を飲んで聞く体制に入る。
「実は、最近地獄の方で不審な動きがあってな。どうもこの世……現世の方が分かるか。現世に何かを仕掛けようとしてるみたいなんだ」
「その証拠にお主を殺した者……我々は
「本来影人に襲われた者は天国に行けず地獄に送られるのだが、どうもお主は才能があるらしい」
「才能…??」
「そう、影人に…悪魔達に立ち向かう才能じゃ!」
神様の語る話は突飛もなく、イマイチ理解が出来なかった。
いきなり地獄とか悪魔とか言われても早々理解は出来ないだろう。
「お主には悪魔達に立ち向かう戦士になってもらいたいのじゃが、どうか?頼めんか?」
その後、話をするとこんな事を言われた。
「許可してくれたらお主は生き返れる。断れば残念じゃが、このまま輪廻の館に行ってもらう事になってしまう」
こんなの拒否権が無いじゃないか!
「すまんな…。天国にも掟があっての。何の理由もなく生き返らす事は出来ないんじゃよ。それに本来はお主は地獄に行っていて生き返れる選択すら出来なかった。…儂は良い返事を期待しておるぞ」
頼まれたら断れない性格も働いたし何よりこんな死に方も嫌だったので
僕は仕方なしに承諾した。
「じゃあこれをお主に預けよう!来たる日に必要な物じゃ!」
そう言って神様はひし形の黄色の石を渡してきた。
「これはスターギアと言ってな…まあ、大事に持っててくれ!後々ちゃんと説明をする」
そんな感じで僕は奇跡の生還を果たした。
「早速ですが、スターギアは持ってますか?」
先程の女性は天使で名をシフォンと名乗った。
僕はシフォンと近くの公園のベンチで話をしていた。
「うん。一応肌身離さず持ってるよ」
と、僕はポケットからスターギアを取り出し見せる。
「それなら安心しました。悪魔達が本格的に動き出した様なので私は急いで黒兎君を探したんですよ」
「あれから2年間何もなかったので夢だったのかな…なんて思ってたんですけど、まあスターギアあったから現実とも理解は出来てたんですが、、、遂に来たんですね」
「辺りが一層暗くなりましたね」
シフォンが声を潜めて言った。
周りを見ると確かに暗い。
学校が終わりそんなに時間も経ってないのにこの暗さは異常だ。
「早速私に見せてください。あなたのギアを――」
その直後、赤く光る何かが動いた。
これは…間違いない影人だ。
どくん、どくん
心臓の鼓動が早くなる。
あの目を見るとあの日を思い出す。
軽くトラウマにでもなってるのか?
「ギアを展開してください!!来ますよ!」
「って言われてもどーしたら?」
「そのスターギアを手で持って叫ぶんです! ウェポンギア展開!!と」
僕は言われるままスターギアを右手で握り叫んだ。
「ウェポンギア!展開!!」
すると握っていたスターギアが光り出して右腕を光りが包む。
そして腕にブロックみたいなのが具現しそのブロックから真っ直ぐに光り輝く物が生えてきた。
「これが…僕のギア…?」
これは剣なのだとすぐに理解した。
その剣は刃渡り1m程あるのだが、重さを感じさせなかった。
影人の数は……5!
「やってやる…!!!」
僕は影人に突っ込んでいくのだった―――
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます