第2話出会い

僕の名前は雀蜂黒兎すずめばちくろと彩月さいつき高校に通う17歳だ。



「うさぎちゃーん、これお願いしていい?」


うさぎちゃんと言うのは名前の黒兎から付けられたあだ名だ。

僕は同級生の女の子にプリントを職員室に持って行って欲しいと頼まれる。

こんなの僕の仕事じゃないのに…



「失礼しましたー」


でも僕は職員室にプリントを持って行くのだ。


「あ、うさぎちゃーん!」


廊下で同級生に会う。


「うさぎちゃん今ちょっと良い?」


「どーしたの?」


「部活の先輩に倉庫整理頼まれたから手伝ってほしいの」



なんで僕が……




「ふぅ…これで良い?」


「うん!ありがとー」


…と、まあ僕は何かとパシられる事が多い。

性格上断る事が出来ないのだ。



「まあ、分かるけどよーお前それじゃ身体持たねーだろ?」


高校に入って仲良くなった佐伯さえき君には、いつもそうやって心配される。



「だって困ってる人を無視できないからさ…」



僕は、うさぎちゃんなんて呼ばれてるけどれっきとした男だ。

でもひ弱って言うかこんな性格だから女の子っぽいと言われる事もある。

男としては屈辱なんだろうけど、僕自身も納得しちゃってるから救いようがない…。



「てか、黒兎はさぁー剣道しないの?あの姿見たらお前の事女みたいだって言う奴いねーだろ」



僕の実家は雀蜂流と言う剣術を引き継いでいる。

雀蜂家の長男として僕は、めっちり雀蜂流を仕込まれてるんだけど


「僕のは真剣を扱う流派だから剣道は駄目なんだよ」


そう、真剣の道を歩む雀蜂流には剣道とか剣を遊びに使うのを良しとされていないのだ。

まあ、僕自身剣道が遊びだとは思わないけど、幕末を生き抜いたひいひいじいちゃん?だっけ…分かんないけど、その辺の世代からそんな考えが受け継がれている。



「色々あんだなー」


そんな会話を最後に学校のベルが鳴る。

僕と佐伯君は一緒に教室に戻る。


それから放課後へと時間が流れる。

いつもの放課後なんだけど、今日は少し違ったんだ。


学校の校門を出てすぐに声をかけられた。


「君が雀蜂黒兎君?」


その女性は、僕と同じぐらいの年齢で綺麗な黒髪は腰まで伸びていて可愛らしい顔立ちをしていた。


「そーですけど…?」


「やっと見つけた」



この出会いが僕の止まっていた時間を進ませる事になるのだった

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