独断と偏見による美味しい文章学
美文とは何だろう。
僕はよく文章がほんとに美しいと言われるけど美文とは何かについて定義を調べたことはないので定義からいこうと思う。
美文とは、美辞麗句をつらね,技巧を凝らした装飾性の高い文章とある。
美辞麗句とはうわべだけを飾り立てた耳ざわりのよい文句。
技巧とはすぐれた技術、装飾とは美しく飾ること。
違和感を感じる。僕の文章はうわべだけを飾り立てた耳ざわりのよい文句ではないし、美しく飾ることもしていない。
なので僕の文章は美文ではない。
僕の文章は美味しい文章である。そう位置付けよう。
僕は自分が今書いている文章を美味しい文章だとは思わない。
より美味しい文章を書くのは未来である。今はその過程に過ぎない。
味覚とは味蕾という感覚器官が生み出すもの。
味蕾と未来を掛けて美味しいのは美しいと感じる感覚が間隔から起こるものだから。空間と時間が間隔の正体でそれには思考も関係している。音も色も間隔でしかない。
音に音色があるように、言葉や文字にも色がある。僕が美味しいと思う文章は再現性の高い文章である。再現性の高い文章が何を再現するのかと言えば、著者の感覚。
それは確かに錯覚でしかないのだが、文章を読むことで作者の表現したい感覚を心象に映し出していると感じられる文章、それが僕にとっての美味しい文章。
技巧としてはまず簡潔であること。
読者の五感を働かせるような文章であること。
あとは読後に感動が湧き上がるなら美味しい文章だろう。
以下は他人の小説の内容で、僕なら小説の冒頭をこう描くと伝える為に書いた文章。
風が、濡れた肌にあたっていた。
薄い紙を何度かめくっていたら、濡れた髪から落ちた雫が、紙面に貼った朱色の付箋を濃く色付けた。
私は付箋を貼った雫で濡れる募集広告の連絡先番号に手繰り寄せられたように携帯を開き、透けてぼやけた番号を入力していた。
僕がこの書き出しを考えた小説の題名は
「風、薫る」
内容は若い女の人が転職を機に職場の上司と恋をするというもの。
書き出しの場面としては風呂上がりに部屋の窓を開けて風を感じていると、机の上に開いていた就職情報誌に雫が落ちて貼っていた付箋を濡らし、思い立って付箋を貼っていた企業に、電話を掛けるところ。
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