第38話 対決


和葉と僕は米ソ並みの冷戦が続いていた。

恋人なら避けられない倦怠期、いや

険悪モード全開だった。


サクラは一肌脱ぐことを決意する。

「 和葉さん、相沢さんがへんちくりんな

女の人に引っかかってないかわたしにも

確認させて下さい」

この頃、カノンとかクララはどこぞの景勝地

で浮かれて羽伸ばしている。

「 サクラ…キミを信用したいが

些か心配だ… 」キーッ!なんて失敬な。

「和葉さん、ごもっともです。

でも何もしないよりはいいのでは… 」


4人でご飯食べたが、サクラもなにか

引っかかる。ずーっとスマホ見てたり、

相沢さんに対する態度が気になった。


この後カラオケに行く。

相沢が我が事のように自慢していた麗華の

歌声…

「確かに上手いわー」感心する。

「感心してどうする」和葉さんに突かれる。

「採点機能オンにしてください!」

If we hold on the together 入れてください」

90点代の高得点…

サクラのドヤ顔… キッとなる麗華

「安室ちゃん対決よ!」ほぼ互角。

「朋ちゃんね」save on your dream の

高音だって負けていない…


サビ、メロディ、音感、ビブラート

やらの五角形を見る。

これはテレ東のカラオケバトルと変わらない

展開になってきた。

『あなた、一体何者⁈」麗華

「わたくし、体同様喉も鍛えておりますので」

ゼーゼーしながら虚勢張る。


女のカラオケ死闘と化した今、

和葉さんも相沢もハラハラしている。

「どっちか止めてくれないかな」

負けず嫌いの性分、引くに引けない、

やめられない性。


和葉さんが気遣ってバックナンバー

入れてくれたけど、双方睨み合いが続く。

「 誠さん、わたしもう疲れちゃった」

よしよしする相沢…

今度はサクラがメラメラする。

「相沢、あんたの体育会魂どこ置いてきた!

わたしが取り戻してやる」

ガラガラになった声で夜明けの街で叫んだ

花園サクラであった。

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