第37話 危惧


『相沢誠は慎重だが、余りにも単純過ぎて

夢中になると悪い女に引っかかりやすい 』


和葉が出した相沢誠の結論と評価だ。


「 お前は俺を僻んでる 」とまで言った誠が

心配でハラハラする。


時期を見て相沢を呼び出す。

相変わらずルンルンモードの相沢に軽い

頭痛を覚える。


「 和葉、なんだ一体彼女の何が気に

入らない!」

「 なんとなく得体が知れない気がする」

「なんとなくだと、感覚で判断すると危険

だぞ!」

おや⁈このやりとりどこがで聞いたこと

ある…なんと名作白夜行、幻夜の世界

「彼女は唐沢雪穂とは違う!」相沢

「 ならば新海美冬だ! 」負けじと和葉…

2人揃って東野圭吾ファンだと話は早い。


「俺なんてここまで本が擦り切れるほど

読んだ 」

「いやいや、俺の方が…」論点がズレてゆく。

「 3部作いつ完成かな? 」

「 誠、その話はもういい…」

「とにかく忠告したぞ」

「 和葉、なんで俺のハッピーモードに

ケチつける 明確な根拠を示せ」

「お前の純情が踏みにじられそうで

心配なだけさ…」

「馬鹿め… 」

彼女の歌うTime to say Good byeを聴い

てみろ天使にしか聞こえない…

グッと堪えた相沢、百聞はってやつだ。


相沢スマホが振動する。

「 麗華ちゃんだ」飛んでいく。

「 今日は霧笛楼のフレンチじゃなきゃイヤよ!」

横柄でぞんざいな態度さえ

惚れた弱みでデレデレする相沢誠であった。

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