第25話 お見合い


相沢 誠には問題が山積しているが

約束だけは守る男だ。加えるなら

違いのわかる男でもある。

見合いの席は避けられない…


全く気は乗らないがこの見合い、和葉の手前

前向きに決めてやろうと思う。


目の前の女性は生まれも育ちも容姿も

なんの問題もない女性だったと思う。

『今の僕にはセクシー系美女かサクラさん

以外誰が目の前にいても同じだ』

いかんいかん、すでに 自虐投モード。


上品に獅子落としが響く中、

「スポーツはなにがお好きですか?」聞く。

「テニスを少し…たしなんでおります」

落胆…テニスとバドでは体の使い方が

違いすぎて理解し合えない。

まぁ出来ない訳ではない。


「どのくらいの腕前ですか?」

「 気分転換に少しやる程度ですわ」

たしなみ、腰掛け程度のスポーツの取り組み

が嫌いな相沢 誠。

『やるなら伊達公子とかお蝶夫人目指して

やれよ‼︎』と喝を入れたくなる。松岡修造

顔負けの熱さ…しかしながら自制する。


なんとなーく暗雲を感じ始め

やげやり気分を隠せない相沢誠…

なんとか口実を作り退散出来る起用さは

持ち合わせていない。

ならば仕方ない…


話はスイーツ部門へ

「シベリアはお好きですか?」

「はっ⁈ 」頓狂な声「存じ上げないです」

「栗しぐれはどうですか?」サクラさんが

練習の後よく食べているお菓子。

「どちらの和菓子ですか?」

「クリエイトとかでまとまって100円で

売っているお菓子です」

「わたしを侮辱なさるおつもり⁈」

キーーーッとして退席した見合い相手の

S子さん。名前すら記憶してなかった。


ご破算、白紙になってどこかホッとする

相沢 誠。ポケットから栗しぐれを取り出した。

花園サクラがくれたお菓子…

ポンと口に投げ込んだ。

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