第22話 Sorry


「相沢さん、」呼び止めた以上逃げる

訳にはいかない…


相沢サンはだるまさん転んだ状態で

固まって いる。


『気まずい、非常に気まずい、

果てしなく気まずい、地平線の果てまで

気まずい… 』


「こ、この前は差し入れありがとう」

声が裏返る。


「 そ、そんな礼なんていらないさ 」

役者にしたら大根役者の如く棒読みだ。


まるで演劇の声出しの練習風景だ。

近寄ることも遠ざかることもせず発声する。


「あのその、珈琲問屋入りませんか?」

サクラはお礼にコーヒー奢ろうと提案した。

「そ、そうだな」


コーヒー問屋の香りに癒される2人。

カウンターに腰掛けアイスコーヒーを啜る。

「その、ごめんなさい」サクラ

「いや、僕の方こそごめんなさい」相沢

「いえ、いえ私の方こそごめんなさい」3乗

さらに増量する相沢。

負けず嫌いの2人の悲しい性…

もはやレジ前のおばちゃんの会計状態、

譲り合いが止まらない。


ふと『本日のリクエストはSorryです』

FM横浜 から流れ出すジャスティン・

ビーバーに

『いやいや、そんな洒落てませんから…』

と首を横に振る2人。


「あの…その… 相沢さんのいない日常は

つまらないです!」珈琲月餅片手に

渾身の力を込めて言った。


「サクラさん… 」相沢は感無量で握手

を求める。 何一つ肝心な話をせず

和解成立‼︎


「 ここの珈琲月餅、美味しいですよね」

感無量の相沢は頷く。

「食べないんですか?」

『今食えるかよ』この状況で食べるサクラ

にある意味感心する。


「相沢さんは酸素と同じです…

わたしには必要不可欠な人です」

くるっと横向いて珈琲月餅を食べでいる

少し照れた花園サクラを抱きしめたいと

思った。


残ったコーヒー片手に口数少なく

歩く2人…

『ズベッ 』平らな道でコケたサクラ

「ホントにどうしようもなく

放っておけない奴だ!」相沢が手を貸す。

「いいよ」 サクラ

「いいから」 相沢

「ちゃんと捕まれ」サクラの花手を取り

離すタイミングが掴めなくなる相沢…


今度は正面から和葉さんが来る。

和葉さんは少し怒った顔…

「なんで⁈ 」ハッ!気がつくとここは

大人の歓楽街。ラブがつくホテル街を

手を繋いで、正確には捕まれ

歩いていたとこを目撃されたことになる。


OMG!!!この展開いかに?

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