第21話 ドキリ



自分はどうしようもなく『小心者』の

『臆病者 』であると思う。


サクラさんの家まで行って

「ときめいてました‼︎ 」と全力の告白は

嘘偽りなく1mmも後悔していない。


だが、最近最も恐れていること…

「セクハラ… 」自分とは永遠に無縁で

無関係と思っていただけにショックだ…

ショックを通り越して腑抜けだ。


最近のテレビ …セクハラ報道ばかりでは

ないか‼︎ 加熱する報道、テレビから聞こえる

セクハラの4文字を聞くだけで心臓がハラハラ

してなにも動揺が隠せない。


『もしかして僕はサクラさんに最大限の

不快感を与えてしまったのではないか

しまった、早まった』


『相手の気持ちを聞く』最も大切でシンプルで

基本的なことがスッカリ抜け落ちた。

あまりにも初歩的なミスでもはや救いようが

ないほど呆れてしまう。


インシデントでもアクシデントでも

ヒヤリハットでも何枚でも書くつもりだ。

『サクラさんに許してもらえるまで…』

だが待てよ、と思う。

女というのは非常に冷酷無慈悲な生き物だ。

一度不快感、嫌悪感を抱いた相手に

『はぁそうですか』とオメオメ寛容な態度

をとって全てなかったことにしてくれる

慈悲深い生き物とは到底思えない ‼︎


『相沢 サイテー超不愉快、不潔』とか

思われていたら ドン、ソファーの足に

ぶつかる。

ぼくは永久に立ち直れない。


こんな時は 24を見よう。

今更⁈と思うかもしれないが僕はジャック・

バウアー の名前くらいしか知らない。

深夜なのに、明日も仕事なのに

ドンドンハマっていく。

むしろ逆効果だ。この臨場感、

追い詰められ感がまるで今の僕のようで

辛い…


「誠、いつまで起きてるんだ」滅多に干渉

しない父、直治まで起こしてしまう。

「どうかしたのか? 」

「別に 」沢尻エリカほどではなく答える。

「お前、見合いしないか?」

問答無用で断る場面

「ああ、いいよ」と答えてしまう。


『 なんて浅はかな人間…』考える現実が

辛すぎて、自己逃避のために見合いオッケー

するなんて…


『自分は終わっている…』嫌悪に駆られ

ブラついていると偶然、花園サクラに会って

しまう。セクハラのに4文字が踊り出す。

恐ろしくて踵を返した。


「相沢さん 」呼び止めた⁉︎ ドキリ

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