第18話 タッチ



家に入り手際よくアイシングとテーピング

をするサクラ。洗濯機をオンにして

溜息をつく。


外では2人の話し声…

『 えっまだいたの⁈ 』思わずかけた曲は

竹内まりや…


部屋のチャイムが鳴る、和葉さんだ。

この状況で流石に居留守は使えない…

おずおず扉を開けるサクラ…

「サクラなにかあったの⁈ 」和葉さんが

私の顔を覗き込む。

バンプオブチキンのボーカルに似てい

る和葉さん。フワフワのあたまを傾けて

イケてる顔から放つ視線は眩しいほどに痛い。


羊羹パンを差し出し

「今日はひとまずお引き取りを…」

バンッ!玄関扉越しに和葉さんの壁ドン

「僕に言えないことがあったの?」

和葉さんの 真っ直ぐの視線に首を横に

ブンブン降るサクラ。


喧嘩はやめて〜2人を止めて〜♪ ハッ‼︎

「先ずこの選曲変えてきます‼︎」とサクラ。 和葉さんの腕を擦り抜けラジオに切り替る。

『When a man Love the women 〜♪』

な、何というタイミング…


「サクラ、誠と…」言い淀む和葉さん。

「今日はなにも聞かない方がよさそうだ。

サクラ足大事にね」


真っ暗の部屋で体育座りをする。

背後にはベートーベンの『運命』

『わたしは相沢にときめいたのか?』

自問自答する。そんなはずない!


真っ白のチラシに書いてみる。

和葉さんに出来て相沢に出来ないこと…

逆の方が多い…

和葉さんの前ですっぴんになれない…

鬼の形相でバド出来ない…

汗まみれで近ずけない…


『おやッ⁈わたしは素の自分をありのままに

相沢に晒していたのか⁉︎ 」


ヨロヨロしながらコンビニに行く。

ジャンボフランクとか食べるものはしっかり

買ってくる。


相沢が立っている。

「これ… お見舞い」湿布とかテーピングが

入っている。あとジャンボコロネも…


「うん、わざわざありがと」

伸ばした手と手が重なる。無意識に顔を

上げる。 相沢と目が合う…

今度はスキマスイッチが流れ出す…


「自分でもよくわからないけど。あの瞬間

花園サクラにときめいていました‼︎ 」


くるっと背を向けて相沢が走り逃げした。

恐るべし!ま正直な不器用男子…


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