第14話 デビュー


目覚めた時は、和葉さんのベッドの上だった。

モスグリーンの壁紙はまるで森の中で森林浴

しているようで心地いい。


「おはよう」起きていた和葉さんは

かがみこんで額を重ねてそっと言う。

森の妖精のような夢見心地で起きる。


カウンターキッチンといい、壁紙のといい

サクラの乙女心はマックスだ。

「色々助かったよ。今日はお礼にどこか

連れていきたい、サクラどこがいい?」


「異次元 …」

「えっ ⁈」メガネを直す仕草がステキ。

「異次元いやこの楽園のようなこのアパート

メントに やられました。」

微笑む和葉さん。

「僕もこの物件に一目惚れしたんだ」

「サクラ、家具見るの好き⁈ 」

「DIYは苦手ですが…見るのは好き」

「丁度電気の傘買いたかったんだ いいかな」


サクラはIKEAデビューを果たす。

これまでニトリの世界しか知らないサクラ

には 異次元だ。勿論、ニトリも好き!


「すごい、すごい、すごい‼︎」

よくお洒落な旅館とかにあるモダンかつ

ハイセンスなデザインや

蕎麦屋の戸隠にも同じ傘があったと感嘆する。


和葉さんは白の和紙がクシュクシュとなった

傘を選ぶ。『ナイス・センス』


「サクラもじもじしてどうしたの?」

「ホットドッグが食べたい!」

ピクルスとフライドオニオンたっぷりかけて

マスタードで頬張る。


「あのね、50円ソフトも食べたい」

サイコーに幸せ💕


「この楽園のためだけに来たい!」

「いいよ、何度でも来よう」


IKEAの青い袋に和葉さんの傘と、キッチン

グッズを沢山買ってエスカレータを登った。



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