第13話 こだわり


サクラには一つ信じられないことがある。

世の女子達、マークイズとかオシャレな

フロアでランチタイムに見る光景…


オフィス街女子達の弁当の小ささだ。

プチトマトとかブロッコリー入れたら

終わりじゃないか… くらいの小さな小箱

をくるんと包みから開ける可愛いらしさ…


足りないーー‼︎と叫びたくなる。

基本ご飯は大盛り、おかずは揚げ物又は

炒め物のガッツリ派のサクラは仰天する。


帰りはスーパーによりフジパンをチェック

するのが習慣のサクラ…

ある帰り、風邪でダウンした和葉さんから

ご飯買ってきて欲しいと頼まれる。


大変…パン売り場でうろついている場合

ではない。バタバタと買い物して和葉‘s

アパートへ向かう。

「和葉さん、まずこれ」差し出したのは

シベリアだ。

「サクラ…これは?」

「羊羹とカステラが融合した優れモノです。

和と洋の絶妙かつ極上のコラボです」

「おばあちゃん… の味」苦笑する和葉さん

「それ食べて横になっててください」


ネギと生姜のお粥…じゃなくて普通のご飯

がいいという和葉さん…

大好きな人に作る料理は兼ねてより決めて

いる。

* お品書き *

肉じゃが、出汁巻卵に大根おろし添え

シシャモが和の定番メニュー。


カウンターキッチンで入念に料理して

味見をする。

シシャモの上には七味とうがらし🌶か山椒

が サクラのこだわり。

「旨い、旨い」とご飯2杯食べてくれた和葉

さん。

「まだまだ…」

殺伐とした冷蔵庫を定食屋使用にしない

と…意気込むサクラ

茄子はゴマ風味の漬物にモヤシは梅肉で

敢えて変身させてタッパに詰める。


カルディで見つけた豆花(トーファ)牛乳寒天

みたいなデザートと蓮のお茶を飲む。


「サクラ ありがとう」スーッと寝入った

和葉さんにフランネルの毛布をかけて

『疲れてたんだね 』そっと帰ろうとした。

スッと手が伸びてギュッと引っ張られた。

「泊まっていく?」ダメダメお泊りセット

持ってないし…あたふたするサクラに

「風邪ひいてるからなにもしないよ、僕の

ベッドで寝ていいよ」

至近距離で優しく微笑む和葉さん。


和葉さんのベッドはモスグリーンの壁紙

がコーティングされた森のようなベッドだ。

『こ、ここは聖域エリア』恐れ多い。


ダイニングソフアに眠る和葉さんの横で

手を繋いだままで2人で静かに眠った。

おやすみショパンを聞きながら…

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