第12話 366日の奇跡


ある日ビオラ先生が

「舞台見に来ませんか?」と誘ってくれた。


ビオラの追っかけと化した相沢は

「勿論参ります‼︎」直立不動で言った。

『ビオラ命』とTシャツの背中に書いて

やりたいサクラも「はい」と返事した。


相沢さんに聞いてみる。ビオラLoveの理由。

「花園よーく聞け、LoveじゃないRespect

だ。例えビオラ先生が男でも追っかけてる」


分かるようで分からない…


「本当にホンモノに触れた時、

そこには男も女もなくなるんだよ」

その重みある言葉をハワイコナのコーヒーと

とマガデミアンナッツパンケーキと一緒に

ゴクッと飲み込んだ。


ダンスの舞台なんて初めてだ。

静まりかえった会場に366日のイントロが

響き渡るように流れ出す。

流れ出したメロディーに乗るように

場内を席巻したビオラ先生達…

サクラはそこで全身が痺れるような経験をする。

ビオラ先生の横でクルクル踊ってた同性の

ダンサーにガシッと心臓を射抜かれ

完全にロックオンされた。

ずーっと昔に読んだ夢のバレリーナの本を

思い出した。


この舞台に同様に鳥肌モノで感動したのは

相沢も同じだった。相沢は急遽花束を二つ

用意させる。御曹司の特権を

ここぞとばかりに乱用して

「我が社公認でyoutubeにアップしろ」

「次の舞台で売り物の宝石じゃんじゃん使え」

と執事の 太田原を困らせた。


ビオラ先生の隣で踊っていたダンサーの

頬に汗でなくホンモノの涙が光るのを

「あの涙こそ宝石以上に光る価値がある」

相沢は大興奮する。

「涙の雫、宝石のルーツです。

スワロフスキーに匹敵する輝きでした」

2人とも オーバーヒートした。


熱冷めらやぬ内に サクラは手を打つ。

「今度はジャズダンスデビューしてくれ

ますよね」

「いや、それとこれは…俺はいい」

と渋る相沢に

「しっかりお付き合いして頂きます」


分かるようで分からなかった相沢論を

分かってしまった。


馬車道でカクテルを飲んだ帰り道に

携帯を取りだす。

「和葉さん、清水翔太とHYの366日

どちらが好きですか?」

「どっちも好きだよ」同じでよかったー‼︎

背後で渋いJazzが流れていた。


「今週も1週間お疲れ様でした 」



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