第11話 レボリューション


私と相沢の共通点。

凝り性で負けず嫌い…

基本的に張り合うことが好きな人種。


相沢と競い合っていること、

クラブステップ…

『クラブ』蟹を意味するこの技

逆ハの字から足を開く時、片方が踵体重

もう一方が爪先体重で足を開く、

サラッと難しいステップ。


相沢ならプライベートレッスン幾らでも

受けれるが丸腰のサクラを前に卑怯な手は

使わない。

私たちは競い合うようにレッスンに行く。


もはや御曹司とは思えないセレクトで

浜ランチをガツガツたいらげる。

負けず劣らずスパランチ。

マコちゃんも和葉さんもニヤニヤして言う

「仲良いね、2人」

「そんなんじゃないの‼︎」サクラ

「コートの上では敵、体育館ではライバル、

だよな」うんうんとサクラは頷く。

「2人ともホントダンス好きなんだねー」

呑気なマコちゃん。

「…僕は純粋に芸術の追求」相沢

「…ミイラとりがミイラに」サクラ

よく趣味でとか体型意地でとか聞くけど

ゼーッたいに違う。

『そっちがマスターしたなら私もしてみせる』

もはや意地でしかない。

「時間ない、行くぞ花園」

野毛から 桜木町にダッシュ…


クラブはぼぼ同時に制覇する。

「次はランニングマンだな」

あの国民的ダンスのランニングマン

意外と奥が深い。アップダウン入れながら

格好良く音に合わせるには要練習。


「やっぱり靴が合ってないんだろうな」

「それは言えてますー」

出来ないことを靴のせいにする辺りも

共通点…いかがなものか。

「今度靴買いに行こうな」「はい是非とも」


平日の昼間和葉さんと待ち合わせをする。

靴選びで遅れて待たせてしまう。

「最近のサクラは相沢寄りだ」少しプンプン

してる和葉さん。

瓦カフェダイニングでゆったりお昼を取る。

食後のカフェタイムに

「和葉さん…」

イヤホンの片方を渡す。

ビオラ先生のダンスで習うのは

ダンスの技だけでなく使われる音楽もそうだ。

三浦大知の『your days 』を聞く。

「今の気分、こんな風に浸透させたくて…」

「透明感があるすごくいい曲だ」

和葉さんは優しい笑顔で私の耳タブに

ソッと手を触れた。


your days のメロディに包まれて穏やかな

春の午後が過ぎてゆく、幸せと共に…





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