第5話 バロメーター


私、フキタ有李酥の心が最近乱れている。

理由は簡単『花園サクラ』の存在…


幼少より誰よりもモテたしチヤホヤされた。

『世界は自分を中心に回っている』とも

『私よりモテる女はいない』を自負にしなが

らそれは微塵も見せずに生きてきた。


花園サクラ…舌打ちしたくなる。


気に喰わない点

1 まず名前 私のようなディズニー系アニメ美女につく名前に劣らない名前と容姿の持ち主

カキツバタアヤメと白鳥麗子の世界


2 計算じゃない天然

彼女はアサイードリンクの出始め

「朝飲むと体にいいからアサイーなのかな?」

皆に聞いて歩いていた。

内心バカかコイツと思いながら「さぁ」とかわした。

あとヒルナンデスの坪倉ファミリーを実在すると

思っていたこと…


3 男子1番人気を和葉さんと勘違いしてること

あの時の計算高い女達は相沢目的だった…

余りにも露骨過ぎないように和葉さんと騒いで

いたのにそんなことも分からないこと


4、私をかいかぶっている

すごくモテると本心で言ってるけど本当に

モテるのは

サクラで鈍感だからそのことにさえ気付いて

ない…


5 天性の無垢 計算の天然ならば

腹黒さ出し合って悪友になりたいのに…

ゴシップガールのセリーナとブレアみたいに…釣り合いの取れる友達になれるのに…


彼女が相沢さんに流した情報は何一つ

私の本質に触れていない。


私が持ちたいのはドクロのバック

飲みたいのは仕事終わりのビール

食べ物は家系ラーメン

好きな芸能人 オーランドブルームとか

エド・ウィストウィック

ハマってるのは深夜のホラー映画

気分転換にボクササイズ


まぁでも彼女が相沢さんに流した情報は

私のイメージに相応しい…だから無害だった。


相沢さん…が好きなのか?と問われたら困る。

相沢ブランドが好きなのだから…

彼といれば正真正銘の女王様になれる。

平身低頭で誰もがが接してくれるし

会員制のブティックもレストランもジムも

フリーパスだし高級旅館でも破格の扱いだ。


サクラが流したアサイー情報でハワイアン好きと結論づけた相沢さんは

「アイボリッシュはどうですか?」と誘われた。私は彼の望むベリー系女子を見事に演じきる。

初めは手応え抜群だったのに、計算通りだったのに…


ある時彼の心の変化を知ってしまう。

初めは私だった筈の『恋心』が花園サクラ

に移っていることに…


相沢は真面目で融通が効かない。

「亜李酥さんは高嶺の花でマシュマロみたいな素敵な女性だけど、僕はもしかしたら

他の女性が気になっているのかもしれない。」

しなくてもいい告白をバカ正直にする。


それが花園サクラなのは聞くまでもなかった。

彼女と相沢がバド繋がりを持っていると

聞いた時から予感はしていた。

あの天然キャラで体育会系はズルい。

そのキャラもらおうと狙ったこともある。

その辺の浅い人間なら誤魔化せる。本物を

知っている人間には通用しない…だから

花園サクラにないキャラを作ってきたのに…


フキタ有李酥はメラメラ炎を燃やす。

「もう容赦も手加減もうしなくてよ。花園サクラ

今度はあなたの大事な和葉を奪ってやる。

そして相沢さんも取り戻す」


フキタ亜李酥は心の内で宣戦布告を誓った。

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