第2話 フキタさん


職場のモテ女有李酥さんは

フキタ有李酥さんと言う。


同じ30代前半で小柄で

特別綺麗な顔立ちとか、いわゆる美形ではないがオーラ美女だ。

ナチュラルでふつうの顔立ちながら妖艶さと

あどけなさを併せ持つ。

独特のイントネーションで話す。

多分方言美女でもある。


夜の爬虫のように男性陣はフキタさんに

群がる。


フキタさんは、ガハハ笑いもしない。

女子サークルにはスッと距離をおく。


仲よさそうだからと和葉に言われたものの

特に仲良くない。

更衣室でフキタさんと並ぶ。

節目がちに挨拶する彼女は同性から見ても

可愛らしい。

サクラは勇気を出して聞いてみた。


「フキタさん、聞いてもいいかな

フキタさんてすごくモテるけどどんな人が

理想?っていうかタイプなの?」

「特別タイプとかないですよ」

そつがない当たり障りのない答え。


「この前の飲み会の1番人気の和葉さん

覚えてる?やっぱりフキタさんが気になる

みた い。」

「そうなんですか」特に嬉しくもなさそう。

もっと喜んでよー内心の声。

『そんなの当然』『分かってます』とか

生意気なこと言わないかなー。


「フキタさんの好みを知りたいみたい。」

「男ってみーんなバカですよね。」

とか性格悪いこと言ってくれればいいのに

そしたら、フキタさんの靴に遠慮なく画鋲も

入れられるし

たくさん悪口言えるのに…

「よく覚えていないんです」

と曖昧な返事をしたフキタさん。


モテ女あっぱれ。

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