祝!16300PV突破! 第43話 プールと魔法のリスク
「なにやってるのよ、もう」
ルナが両手に腰を当てて詰め寄る。
「たかが猪10匹程度に苦戦するなんて」
俺は言い返す。
「そんなこと言ったって、高さの低い猪相手には格闘技も使いにくいし囲まれれば結構な脅威なんだぞ」
「そんなこと分かってるわよ。だからこそ言ってるの。いい?気配探知は常時発動したまま戦えるようにならないと今回のようなことになるの。常に状況を把握し、最も良いとされる判断が出来るようにならないと、今後熊とか出た時に命を落とすことになるわよ」
「ごめんなさい」
ルナの言うとおりだ。
しかしユミは、
「でも、今回足を引っ張ったのは私なのであまり響さんを責めないでください」
ルナはユミを横目で見ると、
「今回のリーダーは響よ。その言い訳は通用しないわ」
「まあその辺は今後、気配探知の運用方法を変えるということで」
俺は話題を変える。
「それよりルナ。話は変わるけどウォーターライドを作るならプールも作らないか?」
「プール?」
「ウォーターライドが通過する時に水飛沫が上がるだろ?それを利用した浴びる感じの流れるプール。もちろん安全対策として高い柵を作る」
「・・・」
ルナは顎に手をやる。
しばらく考えた末、
「良いわね。どうせ水たまりを作るならそれもアトラクションに組み込むってのは悪くないわ」
「だろ?さっそく設計だ」
「分かったわ。まだ文句は言い足りないけどこっちが先ね」
俺はひらひらと手を振り、
「じゃ俺は師匠のところへ行ってくるわ」
「アンタも忙しい男ね。少しは休みをもらえばいいのに」
「休まず通い続けるってのが教えを乞う条件だからな。仕方ないさ」
俺とユミはその場を後にする。
「すみません。響様に迷惑をかけてしまって」
「いいさ、これも訓練のうち」
「ところで響様」
ユミが疑問を口にする。
「響様は天地創造という大技が使えるのにどうして魔法に頼るんですか?」
いつかはこの質問が来ると思ってた。
「天地創造は大味だからな。広範囲に細かいイメージをしようとすると、どうしても時間がかかる。それにコンソールをタップしていく手間もあるしな」
俺は続ける。
「イメージとそれにかかる時間のロスも短縮できる紋章魔法は俺にとってかなり有利なのさ」
ユミはなるほど、と頷き、
「では紋章魔法にデメリットはないんですか?」
聞いてくる。
「紋章魔法というか魔法自体にリスクはある。例えば魔法を悪用したりしたときとかにな」
「悪用したらどうなるんですか?」
「紋章のイメージを作って『視る』力は師匠が俺にかけた『呪い』であり『力』なんだ。俺が紋章魔法を悪意を持って使えば、俺は失明する」
ユミは口を覆う。
「そんな」
そして聞く。
「じゃあ『敵意』の場合はどうなるんですか?悪意との境界線が曖昧な気がするんですが」
「鋭いな。そう、そういう場合は情報が師匠に送られるみたいなんだ。そして、師匠が判断する」
「・・・そうですか。都合のいい力ってそうそう無いものなんですね」
響は笑って、
「まあ不便はないさ」
響はユミの頭をなでる。
ユミは目を細めて、
「私も、響様の負担が軽くなるよう頑張りますね」
「おう、期待している。じゃ、俺は修業があるんでここで」
ユミと別れる。
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