祝!15600PV突破! 第42話 久々の狩り

 ーーー森の中ーーー


「とりあえずルナには獲物が10頭前後出現するよう設定してもらった」


「今度は猪でしょうかそれとも熊でしょうか?」


 ユミが尋ねてくる。


「それは分からないそうだ。なんでも分かるようになったら楽しみが減るとかそんな理由で」


「ルナ様の役に立ち加減て微妙ですよね」


「まあな」


 俺は笑う。


「では気配探知のスキルを使いますね」


 ユミが手を掲げる。


「・・・2時の方向に1体、近いです」


「よし。気配を消して慎重にいくぞ」


「はい」


 茂みの中を音を立てないように10メートルくらい進む。


 いた。


 少し開けたところに一匹の黒い猪がいた。


「私に任せてください」


 ユミが猪の眉間を狙い、穿つ。


 黒猪が悲鳴を上げ、倒れる。


 その悲鳴を聞きつけ、黒猪2頭が駆けつけた。


「しまった!」


 ユミが舌打ちする。


「一頭は俺に任せろ」


「では私はもう一頭を」


 響達はそれぞれ獲物が来る方向を向く。


 俺は自分に向かってくる黒猪に向かい、手をかざす。紋章を猪ではなく掌の前に浮かび上がらせる。


「衝撃よ!」


 響と黒猪の間に爆発的な衝撃が巻き起こる。


 黒猪はなすすべもなく吹き飛ばされ、ライフ・マテリアルに変わる。


「よし」


 実戦でもやれるかも。

 俺は手ごたえを感じていた。


「ブヒィン」


 ユミのいた方から黒猪の断末魔が聞こえた。


 見やると黒猪の眉間に矢が刺さっていた。


 相変わらず一撃必中の腕前だ。


「やるなぁ」


 俺が声をかける、が、


 ユミは額から汗をかいていた。


「気配探知、敵、7頭、囲まれています」


「なんだって!?」


 背後から黒猪が突進してくる。


「障壁よ!」


 響は物理障壁を展開する。


 1体の黒猪がはじかれた。


 同時に障壁も消える。


 左右から2体の黒猪が突進してくる。


 俺とユミは武器をナイフに持ち替える。


 響は突進してくる黒猪を左に躱し、同時に横なぎで黒猪の横っ腹を掻っ捌く。


 ユミは前方に飛び、黒猪の頭にナイフを突き立てる。しかし着地と同時に別な方から来る黒猪に体当たりをもろに受けた。


「くあっ!」


 ユミはもんどり打って転がる。


「このっ!」


 俺は紋章魔法を発動させる。


「風刃よ!」


 黒猪を真っ二つに裂く。


 あと4匹。


「大丈夫か?ユミ!」

 

 ユミのプレートとプレートの間から血がにじんでいた。

 

 間髪入れずに黒猪2体が突進してくる。


「障壁よ!」


 2体の黒猪ははじき飛ばされる。

 障壁も消える。


「くそっ」


 どうすれば。


 考えろ。考えれば何か手があるはず。

 爆発誘導魔法を使うか?

 しかしあれは木々が邪魔して十分なダメージを与えられるかわからない。


 どうすれば。


 そうこうしているうちに、2体加わった4体の黒猪が突進してくる。


 俺は、


「風刃よ!」


 響とユミを中心とした円の刃が炸裂する!


 四方から突進してきた黒猪は同じ高さの刃に分断された。


「よし!」


 俺は急いで回復魔法でユミを治療する。


 やはり教わってて良かった。


「すみません、響さん。私足手まといに」


「何言ってんだ。お前がいたから勝てたんだよ」


 ユミはふらふらと立ち上がる。


「私また手伝ってもいいんですか・・・?」


「ああ」


 俺は頷く。


「よかった」


 ユミは心底ほっとしたように笑う。


「さあ、マテリアルを集めたら戻ろうぜ」


 そして俺たちはマテリアルを回収し、集落へ戻る。

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