祝!12000PV突破! 第37話 リベンジ

「リベンジよ」


 唐突にルナが言い放つ。


「なんだよいきなり」


「納得いかないわ」


 ルナが食って掛かる。


「あのシャドウほんとに100%の実力なの?ちょっと弱すぎない?」


「納得できないのは分かるけど正真正銘100%のルナシャドウさね」


「だよな」


 ルナは両手でばん、とテーブルを叩き、


「あれは響の手の内を知らなかったからの結果よ。次、私がやれば負けないわ」


「その前にちょっといいか?」


 ルナは響を見やる。


「どうせお前のことだから、お前が勝ったら言いなり1回無効とか言い出すだろ」


「う」


「ならその前に言いなり権使うぞ」


 ルナはたじろぎ、


「い、いいわよ。言ってみなさい」


「じゃあ、お前の胸に俺の顔をハグしてくれ」


 ルナはぼっ、と顔を赤らめる。


 あれ?何この反応。てっきりルナはもっと遊んでる系な返しをしてくるかと思ったが。

 一応聞いてみる。


「で、出来るのか出来ないのか?」


「わ、わかったわよ。約束だしね」


 いったん電脳世界から出る。


 ーーー30分後・電脳世界ーーー


「さあ、勝負よ!」


 張り切るルナと対称にやる気駄々洩れな俺。

 まだルナの胸の感触が顔に残っていた。

 いきなり。


 ぱぁん!


 ルナの張り手が緩み切っていた俺の顔をはたく。


「痛っ!」


「もう勝負は始まってるからね!気を引き締めないと大怪我するわよ!」


 言う間に、無数のつららが響に向かって放たれる!


「うわお!」


 爆発魔法で迎え撃つ。すると、今度は一本一本飛ばしてくる。こちらの精神力を削る戦法だ。


「だが光球なんてまだまだ作れるんだよ!」


 ルナに向けて15発くらい光球を放つ。


「その手は予測済み」


 ルナは光球に向けて、


「音よ!」


 ルナの音波魔法が広範囲に炸裂する。


 光球が一気に8個ぐらい減った。


「なんと!」


「同じ手はくわないわ」


 響は残った光球を複雑に操作し、対応しにくくする。


 ルナは構わず光球を避けながら響へと翔ぶ。


 俺はタイミングを計り、物理障壁を作り出す。

 障壁に触れる間際、


 ルナは前進を止め、障壁に触れないように、ゼロ距離で衝撃波を放つ!


 どぉん!


 響は派手な音を立て吹き飛ばされた。


「・・・同じ手は喰わないって言ったでしょ。私の勝ちよ」


 しばらくして。


「ううん」


 俺は目を覚ます。


 視界に入ってきたのはルナの顔。


 以前もこういう事が無かったか。

 たしか精神力を使い果たして目が覚めた時。


「ということは」


 やはりルナに膝枕されていた。


「起きた?」


 ルナが聞いてくる。


「やっぱりシャドウより強いな」


「あれであなたの手が分かったからね」


 俺は、ははっ、と笑い、


「今度はルナを倒してからシャドウに挑まないとな」


「意味あるの、それ」


 ルナがくすくす、と笑う。


 なんだかルナの調子がおかしい、ような気がする。


「なんかいい事あったのか?ルナ」


「ううん、この時期の男の子って本当に成長早いな、って思ってるだけ」


 なるほど。


赤い月を見ながら、響は少しだけ成長を実感する。

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