祝!10500PV突破! 第35話 ホラーハウス 後編

 ーーーホラーハウス2階ーーー


 響は辺りを見回す。


 周りは船の残骸、その向こうは一面海だった。


「どーなってんじゃこりゃー!」


 俺は叫ぶ。建物の壁らしきものも見えない。


 見やると、船の中から骸骨剣士らしきものが現れ、近づいてくる。


「おいルナ!お前は客に怪我させる気か!」


 響は叫ぶが、ルナの返答はない。


 骸骨剣士はどんどん近づいてくる。


 くっそ!


 俺は骸骨剣士の懐に飛び蹴りを放つ。骸骨剣士の背骨が折れる。


「よし!」


 しかし視線を先に送ると、船の下から次々と骸骨剣士が現れる。キリがない。


 響はあたりを見回す。


 斜めになったマストを見つけた。マストの先は上の階に繋がってるようだ。


 俺はいそいそとよじ登る。骸骨剣士たちはマストをのぼれない。今度は落とされる心配はなさそうだ。


 ーーーホラーハウス3階ーーー


 次は夜の学校だった。


「ようやくホラーハウスらしくなってきたな」


 今度はちゃんと壁もある。

 響は壁をペタペタと触る。


「とりあえず出口を探そう」


 俺は歩き出す。


「ぎゃあああああ!」


 突然悲鳴が上がる。


 響はびくり、と身を震わす。

 身構えるが、声がしただけで特に変化はないようだ。


「お、驚かせるなよ」


 続けて前方からピアノの音が聞こえてくる。

 部屋のプレートを見ると、『音楽室』と書いてある。


「ベタだな」


 俺は通り過ぎる。


「しかし夜の学校ってのはやはり何か『くる』ものがあるな」


 じゃあああ!


 突然、水の流れる音がする。


 びくり、と響は震えると、音のする方を見やる。


 そこは女子トイレだった。


「ここで中に入ると『トイレの花子さん』あたり出てきそうだな。・・・よし、スルーしよう。女子トイレだし」


 響は先へ進む。


 びゅおおおおう。


 風が強いのか、窓枠がガタガタと震える。


 俺は恐る恐る前進する。すると、次の教室のプレートが見える。


『理科室』


 ・・・というと、


 ガラッ


 突然、理科室の扉が開き、人体模型が飛び出してきた!


 内臓とか筋肉繊維がむき出しになっているアレだ。


「うわ、うわわわわわ!」


 俺は全力で逃げる。


 ガタ、ガタガタ!


 後ろから音を立てながら、全力で模型がついてくる。


 前方に階段が見える。そこを走り上ると、模型はついてこなかった。


 ーーーホラーハウス4階ーーー


「あーびっくりした。ルナの奴、やたら凝ったの作りやがって」


 辺りを見回す。


 今度は廃病院だった。


「なんだろう。これは『怖い』の種類が違うような・・・」


 すると突然、背後から手がにょきっと伸び、響の口にガーゼを当てる。


「しまっ・・・!」


 俺は意識を失う。


 しばらくした後、


 カッ!


 強烈なライトで目を覚ます。


 あまりの眩しさにうっすら目を開けると、


 そこは手術台の上だった。


!!!!!!


 あまりの恐怖に体をばたつかせる。

 が、全身をベルトで固定させられていたため、暴れられない。


 ひーっ!


 体のあちこちが削げ落ちているナースと医者が、響を覗き込む。


 あわわわわわ。


 ナースが医者にメスを渡す。


 医者が響の腹にメスを当てる寸前、


 ぷつん。


 頭の中で何かが切れる音がした。


 どおん!


 俺は無意識に爆破魔法を放っていた。


「ああああああっ!」


 どこからともなくルナが現れる。


「ちょっと!大事なセットを壊さないでよ!」


「うるせー!何がホラーだ!恐怖の方向性が違うんだよ!」


 どおん!


 廃病院に穴が開く。


「あ、あんたそういうことするわけ!?それならこっちにも考えがあるわ!」


 ルナは開いた天井から飛び出して、隣の城の天守閣に火炎魔法で火を放つ。


「あああああっ!なんてことすんだこのアマ!」


 響はルナに魔法を放つ!


 負けじとルナも応戦してくる!


 ーーー十数分後ーーー


「ごめんなさい」


 ルナと響は大工や装飾師の前で土下座をしていた。

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