祝!9700PV突破! 第33話 そそり立つもの
手加減という言葉を知らないのか。
「あら、手加減が足りないという表情ね。十分手加減してるわよ」
「今後はさらに手加減してください」
「あなた次第ね」
くそ、俺は呻く。
「とりあえずそれは置いといて、出来たぞ」
「何が?」
「俺たちの城さ!」
「?」
響は指をさす。
そこには。
純和風の城がでーん、とそそり立っていた。
ルナの口は開いて塞がらない。
「な」
「な?」
「なあああああんってもん作ってんのよ!アンタは!」
俺は自慢げに、
「凄いだろ。俺たち一国一城の主だぜ!」
「一国より、まだ一つの集落も出来てないのよ!?」
「そんなのは些細なことさ」
ルナは食い下がってくる。
「いつのまにあんなの作ったのよ!」
「ルナが鉱山に引きここもってた時、ゲス徒と戦ってっ来た時、細かくパーツ分けして作ってました」
「マテリアルは?マテリアルはどうしたの!?」
「浄化が済んだライフ・マテリアはマナ師匠に結界解いてもらって半数を大工に、ルナが鉱山で集めてたプロセシング・マテリアルも半数を城の資材に」
ルナは崩れ落ちる。
「大丈夫だって。ルナが作りたがってたホラーハウスを作る分も残してあるから」
「本当!?」
ルナはぱあっ、と顔を上げる。
どんだけホラーハウス作りたいんだ。
「ああ。二人で立派な国・・・じゃないか。街を作ろうぜ」
こほん、とマナが咳払いして
「取り込み中失礼するけどね。響はまだ修行の途中だよ。悪いがホラーハウスはルナだけで作ってくれ」
「ええ、別にそれでいいけど」
ルナが怪訝な顔で、
「響にセクハラするの止めてもらえます?この男、すぐ調子に乗るから」
マナはあれ?と一息つき、
「最初にテストの見返りに脱ぎたてのブラジャーを渡したのルナだって聞いたけど」
ルナはきっ!と響を睨む。
俺はさっ、と目を逸らす。
「まあご褒美をあげれば結果を出す子だからね、セクハラも現実世界でやるからOKだよ」
「ううう」
マナはルナに耳打ちする。
「最後まではやらないから安心しな」
「そういう問題じゃ」
言いかけて、ため息をつき、
「まあいいわ。私はホラーハウス作りに着手するから響はマナ師匠のところで修行しなさい」
「了解。あ、そうだ」」
「何?」
「城作る時、大工増やしたからホラーハウスも早く出来ると思うぞ」
ルナは苦笑し、
「その辺だけは助かるわ」
そう言ってルナは建物に向かう。
「何だあいつ。いつにも増して変だぞ」
「あんたも鈍いねぇ」
「そういう意味?俺があいつとどうにかなる?それは無いだろう」
マナはやれやれ、と。
「まあいいや、この話はまた今度」
マナはぱんぱん、と手を叩く。
「じゃあレッスンの続きをするよ」
マナは指を立てる。
「今度は追尾型魔法さね」
「ああ、俺が狂犬どもに使ったやつか」
「そう」
マナがホウキで円を描く。
二つの風船が現れる。
風船は大きく揺れている。
「この風船にこの紋章を刻む」
風船に紋章が刻まれる。
「あとは魔法の射程内にいれて魔法を放つ」
マナの手から緑色の風の刃が現れ、ふらふらと揺れる風船を切り裂く。
「やってみな。一回で成功したらナメナメしてやるよ」
響は風船めがけて追尾の紋章を刻む。
そして爆発魔法を放つ。
光の玉が風船に直撃し風船が爆発した。
「アンタは・・・下心が絡むとほんと上達が早いねぇ」
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