祝!7500PV突破! 第29話 師匠と同棲
「よいせっと」
響はディスプレイから身を乗り出す。
直後に。
ドン!
背中に何かが当たり、俺は前にはじき飛ばされる。
振り向くとそこにはマナがいた。
「なんでこっちの世界に来るの?」
マナは不思議そうに、
「私がいなきゃ誰があんたを電脳世界に入れられるのさ」
「それはそうだな。ってこっちに拠点とかないの?」
「それは秘密さね」
俺は思い付く。
「ということは・・・マナ師匠としばらく同棲?」
マナはいたずらっぽい笑顔で、
「大人の階段上ってみたいかい?」
「ぜひ!」
マナはくすくすと笑い。
「じゃあ小テストで満点取ったらいいよ」
「よっしゃあ!って、やっぱりマナ師匠も学校に来るの?」
「英語の教師さね。よろしく」
「予想通りか」
だが言質は取った。
「さ、遅いしもう寝るよ」
「おやすみ師匠」
次の日の朝。
「響~響~起きてよねえ~」
「ううん、師匠じゃないですか。どうしたんですか」
マナ師匠は笑顔で、
「朝ごはん作って」
「寝ます」
「ちょ、ちょっと何で無視するのさ?ねえ」
俺は上半身を起こし、
「ルナみたいにディスプレイの中から取り出せばいいじゃないですか」
マナは眉を寄せ、
「あれは作った感じがしないんだよう。まだ軍隊の食糧がマシと思えるような」
やっぱりか。
俺はべットから降り、
「わかりました。作りますよ」
響はキッチンに立つ。
ごはん、あさりの味噌汁、塩鮭、大根おろしを料理して渡す。
「有難いねぇ。和食なんて何年ぶりだろうねぇ」
「ルナと同じで外国にいたんスか?」
「ああ、私たちは世界中で活動してるのさ」
俺はあれ?と思い、
「師匠は隠居生活じゃなかったんスか?」
「世界中に弟子がいるんだよ」
なるほど。賢者の頭に『大』が付くだけある。
マナは朝食を平らげると、
「さて、準備して登校といくかね」
ーーー登校ーーー
マナは灰色のスーツに教材を肩にかけて俺の隣を歩いている。
「おい、なんだアレ」
「すごいナイスバディ」
「外人かな」
「なんで神鳴が隣にいるんだ?」
俺が隣にいてはいけないのか。
ルナとは別な方向で注目を浴びている。
そして英語の時間。
国語の担任が、
「前の英語の先生は旅行券が当たったそうでしばらく来ない。代わりの真名先生がお前たちの英語の担当をするが、あまり粗相のないようにな」
ルナの時もそうだったがいつの間に手配を済ませたのか。
「では自己紹介を」
マナは教壇に立ち、
「欧州から来ました。そこの神鳴君の親戚にあたります。日本は勝手が違うので、わからない所があればどうかご指導をお願いします」
教室がざわめく。
「また神鳴か」
「なんであいつだけ」
恨み節が俺のところまで聞こえてくる。
せいぜい羨め。
「では授業を始めます」
マナは英文を黒板に書き、
「神鳴君、この英文を読みなさい」
I think that this prоblem is easy.
「この問題は乾電池で出来てると思います」
「・・・次」
He went tо the stоre tо buy a dictiоnary.
「彼は辞書を窓から投げ捨てた」
マナの腕がプルプルと震えだす。
「次」
I was happy tо hear the news.
「私はその髪の知らせを受けて笑いたかった」
マナ俺に近づき、腕を引っ張ってつかつかと廊下に出る。
「なにあんたふざけてるのかい?」
「俺はいたって真面目ですが」
「ルナは『私と同じ成績は響だけだった』って言ってたんだけど」
響は両手を振り、
「あの時はルナの下着が懸かってブーストが発動してたんすよ。結局その下着も10分で消えましたが」
マナは眉間にしわをつくり、手で押さえる。
「私は小テストで満点取ればって言ったけど」
「そのあとから今まで勉強する時間なんてなかったじゃないスか」
「そうね。そうよね。あまりに解答が悲惨だったから先生ちょっと冷静さを欠いてたわ」
マナはがしっ、と俺の両肩を掴むと、言い放つ。
「帰ったら猛勉強よ」
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