祝!7000PV突破! 第28話 師匠
「じゃあ始めるとするかね」
「お願いします。色々と」
「ふふん、若い蕾をいただくのもいいけどまず地力をつけてからだね」
マナはホウキを振る。
そこに平均台が現れた。
「なんスかこれ」
「見ての通り平均台だよ」
「何で平均台なんスか」
マナは指を立てる。
「さて何ででしょう?」
俺は考える。
「・・・平常心を鍛えるため?」
「正解!あんた冴えてるね。そう、魔法の暴走を制止し、コントロールするには平常心が欠かせないのさ」
「言っててなんだけど、こんなんで平常心鍛えられるの?」
マナは鼻高々に、
「いい質問だね。1回渡りきるごとに10Cmずつ高くなっていく仕組みさ!」
「嫌にリアルな数字だな・・・妙にハイテンションなのも気になるし。まあとりあえずやってみるか」
響は平均台にのぼる。
とりあえず1m30クリア。
1m60クリア。
1m70クリア。
少しずつ高くなっていく平均台に挑戦していく。
そして3m。
俺の足はガクガクと震えている。
「どうした少年!まだ3mだぞ」
「落ちれば立派にケガする高さなんですが!」
「大丈夫、落ちた時は魔法で拾ってやるさ」
全然大丈夫じゃない。
慎重に、慎重に少しずつ進んでいく。
この世界にまだ風を作らなかったのは正解か。
そうこうするうちに、やっとのことで渡りきる。
「つ、疲れたー。平均台にここまで平常心を試されるとは」
「少年、初めてにしてはよく頑張った。今日はこの辺にしとこうか」
そう言うとマナは焚火の準備をし始める。
パチパチ
暖を二人で囲む。
「マナ師匠はいいんですか?」
「なにが?」
「いや、ルナ達が戦ってる時にこんなゆっくりしてて」
「あたしはもう第一線は引退したんでね」
マナは両手を上げ、のびをする。
「若い連中に任せるさ」
「ゲス徒に恨みは?」
「たんとあるね。・・・でも響、恨みに全てを任せて、限りある人生に全てを投入するのは、賢い生き物の生き方かい?」
「それは・・・」
マナは響を指さす。
「恨みに全てを任させて相手の人生を奪うのはゲス徒の常套手段だよ」
「・・・」
「それにね魔法に求められるのは平常心。だから何にでもクールでなければならない」
響は顔を上げる。
「憎い相手にそこまでクールでいられる自信がありません」
「頭に血をのぼらせるんじゃない。頭は常にクール。しかし腹の底で、ぐつぐつ怒りを沸騰させるのさ」
「それは考えたことはなかった」
マナは笑う。
「はっきり言ってルナよりもお前のほうが魔法使いに向いてるよ。あの子は感情を抑制させるのに難があるからね」
「でもルナは『私の足元にも及ばない』って言ってましたよ」
「格闘戦と射撃ではね。でもぶっちゃけ100以上の爆発球の追尾弾をコントロールするのはルナでも無理だよ」
マナは手をひらひらさせる。
「師匠は?」
「300は固いね」
さすがルナの師匠だけある。
「さ、明日は学校だろ?今日は現実世界に戻って寝な」
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