祝!5900PV突破! 第25話 異変
「とりあえず大工の数が足りないわ」
意識を取り戻した響にルナが告げる。
「何人ほど?」
「12人くらい欲しいわね」
俺は腕を組み、
「計36個のライフ・マテリアルか・・・犬が1匹2個落とすから計18匹って、いくら何でも一度には無理だろ」
「ぐだぐだ言ってないでやっちゃえ!」
ルナがコンソールを動かす。
「おい、馬鹿」
「大丈夫よ。森の端から少しづつ殺していけばいいのよ」
「たいへーん!」
ハンが森のほうからかけてくる。
「森で変わったマテリアル探してたら犬の集団が襲いかかってきて、私は逃げ延びたんだけどマーが奥のほうで取り残されてるの!」
「ルナ!」
響がルナを見やる。
「消去!・・・あれ?」
「どうしたんだルナ!」
「消せない・・・消せないの!なんで!?」
俺はユミに声を掛け、森に向かって走り出した。
「どけどけどけ!」
響は襲い掛かってくる黒犬を片っ端から切って捨てる。
ユミも背後から牽制、そして援護射撃をしてくれる。
「マー!どこだ返事をしろ!」
返事がない。嫌な予感がする。
それでも諦めず声を出し続けて、
「響のおにーちゃん!」
見つけた。
響はあたりに警戒する。そこら中から黒犬の気配がする。
響は『通信』のコンソールを開き、
「ルナ、聞こえるかルナ」
「聞こえるわ。通信ね響」
「どう数えても50匹以上の黒犬に囲まれている。なにか対策はないか?」
「あなたはこの世界のマスターなのよ。出来ないことなんて・・・ザザッ」
通信が途切れる。
そうこうしてるうちにも気配の輪は狭まってくる。
響は『地殻変動』のコンソールをタップする。
響を中心に直径30メートルの地面が円状にせりあがっていく。
大半の黒犬が置き去りになる。
「よし、円の内側に残ってる 黒犬を片付けるぞ!」
響とユミは見事な連携で黒犬を討ち取っていく。
しかし、事態を傍観していたマーが、
「あれ見て!」
15メートルくらい下の地面の黒犬たちに変化が起こっていた。
黒犬の背中からコウモリみたいな羽が、バリバリという音とともに生えてきたのだ。
そして響たちの高さまで飛んでくる。
数はおよそ40匹。
玉砕覚悟もかなわない圧倒的な戦力差。
自分だけならいい。しかしユミやマーを襲わせるわけにはいかない。
なにか、なにか手はないか。俺が知っていてまだ使ったことのない手。
ルナは言っていた。この世界で出来ないことはないと。
ピーン!
閃いた。響はコンソールを呼び出す。
黒犬たちはどんどん上昇してくる。
響はコンソールで探す、あった。
「魔法!」
黒犬たちは響たちに襲い掛かってくる!
「種類・爆発!追跡!範囲・全体!」
響は全力でコンソールを叩く!
響たちの周囲に球状のエネルギーが100個ほど現れて黒犬たちに向かっていく。
大爆発の連鎖が起きた。
ーーー数時間後ーーー
(・・・ なんだろう、真っ暗だ。首の後ろが温かい。ぽつぽつと頬に何かが当たってる。俺はゆっくりと目を開ける)
ルナの顔があった。
首の後ろが温かいのは膝枕をされていたからだ。
頬に当たっていたのはルナの涙か。
「響!大丈夫!?」
体の全身がだるい、大丈夫だと手を上げようとしたが、上がらなかった。
「無理に動かさないで。今のあなたは精神力のほとんどを使い果たしている状況なんだから」
「わかったよ・・・だから泣くなって」
ルナは大粒の涙をぽろぽろと落とす。
「わ、私がもっとしっかりしていればこんな事には」
「ルナの『なんでも出来る』ってアドバイスがあったから魔法が使えたんだ。結果オーライだろ?」
「それで死にかけたら本末転倒よ」
? 何か気になる。
「死にかけてたって誰が?」
「あなたよ、あなた。本来、人が持ってる以上の精神力を使い果たしたら死ぬの」
ルナはため息を吐いて、
「あなたの心臓止まってたのよ」
「なんだって!?」
「私が急いで駆けつけて回復してなければ、あなたあの世行きよ」
そ、そうだったのか・・・
「私でも制限付きの今の状態じゃあんな大魔法は使わないわ」
「それよりマーは?」
「大丈夫、かすり傷よ」
そこで響は気が付いた。
「よかった。涙は止まったみたいだな」
「ばか」
こうして長い1日は終わった。
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