祝!4600PV突破! 第20話 奇跡とブラジャー

 それからの2週間、響の勉強ぶりには鬼気迫るものがあった。


 とにかく暗記、暗記、暗記。


 わからない箇所がったら参考書を見る。


 だが睡眠時間を削るようなことはしない。


 睡眠は記憶したものを整理する重要な機能なのだ。


 現実世界でもとにかく勉強、時間があったら問題集を見る。


 その豹変ぶりにクラスメイトは、


「どうしたんだ響の奴」

「休み過ぎて留年が確定しかけてるんじゃない?」

「無駄な努力だよなー」


 それらの声を一切無視して、というか全く耳に入らない状態で勉強する。


 ーーー国語ーーー


 問、『』内の文字をひらがなにしなさい。

 貴重品を『扱う』


「答え、あつかう」


 ーーー社会ーーー


 問、百姓が領主に納めた税を何というか?


「答え、年貢」


 ーーー数学ーーー


 問、次の計算をしなさい。

 (28x-14y)÷(-7)


「答え、-4x+2y」


 ーーー理科ーーー


 問、物質を作る、それ以上分けることのできない小さな粒子を何というか?


「答え、原子」


 ーーー英語ーーー


 問、Ted was in the rооm then. を疑問形にしなさい。


「答え、Was ted in the rооm then?」



 解ける。問題がどんどん解ける。


 走り出した鉛筆が止まらない!


 神? 俺は神か?


「先生、鳴神君がぶつぶつ五月蝿いです」


「珍しく学校に来て勉強してるんだ、そっとしといてやれ」


 どうやら声に出てたらしい。なにやら憐みの言葉をかけられているが気にしない。

 それどころではないのだ。


 そんなこんなで電脳時間で


 ーーー2週間後ーーー


「さて、勉強のほどはどうかしら、何やら必死こいて勉強してたみたいだけど結果のほどはどうかしら?」


「ごたくはいい。さっさと始めよう」


「う、なんかやたら自信があるわね」


 ルナはテスト用紙を配る。


 俺はそれに目を通す。


 そして鼻で笑う。


 もの凄いスピードで鉛筆を走らせる。


「はい、国語終了」


「えっ、もう?」


「次のテスト用紙を」


 ルナは社会のテスト用紙を渡す。


 俺はまた猛スピードで鉛筆を走らせる。


 解ける、解けるぞ。


「はい、社会終了」


「え?」


 私は侮っていた。エロに対する響の集中力を。


「次のテスト用紙を」


 ルナは数学のテスト用紙を渡した。


 さすがに数学は簡単にはいかないだろう。


「はい、数学終了」


 ええ?ルナは少し焦っていた。予想外である。


「次、理科」


 ルナは震える手で理科のテスト用紙を渡す。


 もう響の快進撃を止めることできなかった。


「理科、終了」


 やばい。マジでヤバイ。まだ採点は終わってないけど嫌な予感がする。


 ルナは最後のテスト、英語の用紙を渡す。


「はい、英語終了」


 ルナはガタガタ震える手で採点する。


 結果はーーー


 全科目、満点であった。


「なんですとー!?」


 ルナは驚きを隠せない。


「いやっほう!」


 響は待ちきれないという様子で


「さ、さ、ご褒美を!今してるブラを早う!早う!」


「くっ」


 屈辱と羞恥にルナの顔が赤みを帯びる。


「し、仕方ないわね」


 ルナは上着に手を突っ込みブラのホックをはずす。

 響に見られてる状態なのでかなり恥ずかしい。


「ほ、ほら、約束の品よ」


「いやっほう!」


 響はブラをほおずりしたり匂いをかいだりしていた。


「そんな事は私の見えないところでやりなさい!」


「へーい」


 響は建物の裏に消える。


 ルナはしばらく響の去ったほうを見て、


「奇跡?・・・いやセクハラにかける響の情熱かしら?」


 ルナはやれやれと、


「ま、いいけどね。あのブラ、10分で消えるよう設定してあるから」

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