祝!2100PV突破! 第12話 平和の象徴

 ーーー電脳世界ーーー


「よう、ラーナ」


「おっマスター、ちぃーっす」


「首尾のほうはどうだ?」


 ラーナは袋からマテリアルを出して、


「プロセシング・マテリアル4個の収穫ってところかな?」


「あれ?なんか灰色の奴が混ざってるけどこれもプロセシング・マテリアル?」」


 ルナが答える。


「そうよ。緑色のプロセシング・マテリアルは基本、木材。鉱物は灰色のやつのほうが変換効率は。良いの」


「なるほど、計8個か・・・これで何が作れる?」


 ラーナが答える。


「プロセシング・マテリアル4個で大工工具が作れるね」


「具体的には?」


「のこぎり、げんのう、ノミ、けびき、かすがい、キリ、メガネレンチ、釘抜き、バール、すみつぼ、かんな、定規、巻き尺、さしがね、えずいた、スコヤ・・・だね」


 俺は驚きを隠せない。


「そんなに作れるの?っていうか大工道具ってそんなに使うんだ・・・」


「あたしは道具の手入れしとくから、マスターは残りのマテリアルを調達してくれよ」


「わかった」


 ーーー森の中ーーー


 俺は気配を消しながらスコップでもくもくと穴を掘る。以前、森を飛んだ時に竹藪も見つけたので斜めに切り取り槍にし、ブービートラップを作っているのだ。

 自分が引っ掛からないよう近くの木にチョークで大きなバッテンを描く。

 材料を探している途中、緑のプロセシング・マテリアルを二つ手に入れる。


「一匹ずつ探すよりは効率良いかな?何度も使えるし」


 響は木に登る。前回みたいに鳥の巣がないかあたりを探す。


 鳥が降り立つ場所を見つけ、その木に登る。

 鳥の巣があった。

 俺は弓を構えた。

 すぐに巣を守るため鳥が飛んでくる。

 鳥はーーー黒色の鳩だった。


「平和の象徴じゃねーか!」


 非常にやりにくい。カラスよりよほど。

 しかし手心を加える余裕はない。

 この高さから落ちたら、こっちが死にかねない。

 響は狙いを定め、一羽目を撃ち落とす。

 ほかに黒い鳩が二羽襲い掛かってくる。

 俺は一羽をサバイバルナイフで切り裂く。同時に両足で枝をロックし三羽目を左手で払う。バランスを崩した黒鳩を矢で射貫く。

 黒鳩はライフ・マテリアルに変化する。


「ふう。これでようやく一人分か」


 とりあえず戻ろう。一人でも人数は多いに越したことはないだろうから。


 ーーー森の外・資材置き場予定地ーーー


「ただいま」


「おかえりー」


 ルナが笑顔で出迎える。なんだろう、これだけでも頑張った甲斐があった気がする。


「首尾はどうだった?」


「ライフ・マテリアル3つに緑のプロセシング・マテリアル2つ」


 へえ、とルナは驚いて、


「あなた狩人の才能あるかもね」


 へへん、と俺は威張る。

 そして、


「とりあえず大工を一人増やそう」


 提案する。


「わかったわ。ライフ・マテリアルを渡して」


 ルナはライフ・マテリアルを受け取るとマテリアルを輝かせ、


「さあ、コンソールで『大工』を呼び出し、イメージしながら押すのよ」


 俺は言うとおりにする。


 マテリアルは最高に輝き、


ーーーオレンジ色の短髪で、片方の髪を結んだ浅黒い肌のオーバーオールの横パイ娘が現れた。


ルナは無言で響に鏡割り(プロレス技)をかける。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る