祝!1900PV突破! 第11話 シャドウ



「ライフ・マテリアルを4つも手に入れられたのは幸運だったわね」


 いきなりルナはそう切り出した。ちなみにラーナはプロセシング・マテリアル探しに出かけている。


「なんで?」


 俺が問うと、


「ライフ・マテリアル一1個でシャドウが作れるからよ」


「シャドウ?」


「そう」


 ルナは胸を張り、


「つまりイジメっ子大将、大吾の分身が作れるってわけ」


「なんと!」


 ということは対大吾の模擬戦が出来るってことだ。


「ナイフを使うのは当然ダメなんだよな?」


「そりゃそうでしょ。あなた人殺しでもするつもり?」


 ルナはコンソールを開きながら何か操作すると、ライフ・マテリアルが輝き、


 大吾のそっくりさんが出来た。


「ああん?てめー響じゃねぇか。こんなところで何やってんだよ?」


「なんかものすごくリアルなんだけれど!」


「馬鹿ね、そうじゃないと実戦にならないじゃない。ちなみに戦闘力は半分に落としてあるから頑張って」


 大吾は走り寄ると、


「おらぁっ!」


 殴りかかってきた。

 俺は反射的に目をつぶる。


「馬鹿!目を閉じたら避けられないじゃない!木々の合間を飛んだ時を思い出して!」


 響は殴り飛ばされた。


 しかし、


「・・・あまり痛くない?」


「そりゃそうよ。素早さも腕力も2分の1なんだから。そんなのに負けたら小学生に負けるのと同じで、恥じよ」


 響は起き上がり、


「そういうことならやってやるぜ!」


 シャドウ大吾に立ち向かってゆく。


 ーーー30分後ーーー


「き、今日のところはこのくらいにしといてやらあ」


 響は肩で呼吸をしながら呟く。


「6割5分の力で互角かぁ・・・ま、一日でそんなに強くなれるわけでもなしこんなもんかな」


 ルナは、んー、と背伸びして


「じゃ、ラーナにあとは任せて今日のところはこの辺で帰りますか」


 ーーー現実世界・響の家ーーー


「またお前の料理を食うのか?」


「そうよ。これは私の日課、ライフワークですもの」


「材料がカラスとウサギだからなぁ」


 ルナは口をへの字に曲げて、指を立てる。


「結晶から作ったと思えばいいのよ」


「それはそうだけど・・・」


「さ、さっさと食べた食べた」


 ルナはディスプレイに手を突っ込むと、シチューを取り出した。


「はい召しあがれ」


「なぜだろう『手』料理と認識できないのは・・・」


「私が作ってることに変わりはないわ」


 とりあえず口に入れてみる。


 美味い。


「味は美味いんだよ。それだけにがっかり感も大きいんだ」


「もう、小さなこと気にする男ねぇ」


 そんなこんなで俺たちは夕食をすませる。


 俺はルナに、


「大工道具も必要だけれど、その前に弓とあと矢をありったけ作れないか?出来ればナックルガードの付いたサバイバルナイフも自前で、あとスコップも」


 と聞くと、ルナは、


「ええ、プロセシング・マテリアル1個あれば全部作れるわよ」


「頼む」


「うふふ。やる気が出てきたようで私嬉しいわ」


 響はそこでふと気が付いて、


「そういえばラーナ向こうに置いてきたけど飲食はしないのか?」


「NPC、つまりノンプレイヤーキャラクターだから基本的に必要ないわよ、食糧渡せば食べると思うけど」


「そうか、じゃあ今度酒でも贈るかな」


 俺の提案に


「未成年はーーー」


「わ、わかってるよ!俺はジュースで!」


 そんなこんなで一日が終わった。

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