祝!1300PV突破! 第9話 狩りとマテリアル
「この前の食事もこのライフ・マテリアルで作ったのよ」
「はあ・・・」
どういう反応をすればいいのか俺は困っていた。どのみち小動物を殺して食べたことに変わりはないのだ。
「小さな事でいつまでもくよくよしないの」
ぽん、と背中をはたく。
「少なくとも脱いじめられっ子から一歩前に進んだことに変わりはないのよ」
「そうなのか?まあそれはもういいんだけど、人を一人作るのにライフ・マテリアルは何個必要なんだ?」
ルナは三本指を立て、
「基本、三つよ」
「多いか少ないかわからない数だな」
「小動物もあなたに合わせてどんどん進化するから決して楽な数字じゃないはずよ」
後ろ髪を引かれる思いだが、
「仕方ない、残り2匹狩ってくるか」
俺は森へ向かう。
ーーー森の中ーーー
「くそおおお!逃げるなあああああ!」
森の中を全速力で走る黒ウサギを響が追う。
「追いつけないと思ったら羽を出して低空飛行で追うのよ」
ルナがアドバイスする。
「羽の出し方は?」
「羽を収納するときと同じ、手のひらに円を描いて真ん中を押すの」
「わかった」
俺は言われたとおりに翼を出す。
「飛ぶときは『飛べ』と念じて、スピードを上げるときは『早く、もっと早く』とイメージするのよ。止まる時は『止まれ』と念じるの」
「OK!じゃ、狩ってくる」
初めはおそるおそる飛んでいた響だが、だんだんスピードを上げ、ついには黒ウサギに追いつく。
黒ウサギは逃げられないと思ったのか、響に襲い掛かってくる。
がぶり、と響の鼻を噛む。
「痛あーっ!」
響はぶすり、と黒ウサギを刺す。
黒ウサギは痙攣して動かなくなる。
「この感覚はそうそう慣れそうもないな」
黒ウサギがライフ・マテリアルに変化するのを待ってルナのところに戻ろうとすると木のうろのところに緑色の八角形のマテリアルっぽいものを見つけたので持って帰ることにした。
「お疲れ様、首尾はどうだった?」
「ライフ・マテリアル一個とこんなの手に入れたんだけど」
俺は緑色の結晶を渡す。
「これはプロセシング・マテリアルね」
「ぷろせしんぐ?」
「木材や鉱物に変換できるの。おめでとう。これで『採取』のクエストもクリアね」
俺はしばし考えて、
「なんで空や大地はマテリアル必要なくて木材はマテリアル必要なんだ?」
ルナは両手を腰に当て、
「いい質問ね。マテリアルで変換しきれないものはコンソールで創造出来るようになってるの。いくつ集めても全然届かなければ意味ないからね」
「なるほど」
俺は質問する。
「家を建てるのにプロセシング・マテリアルは何個必要なんだ?」
「家の大きさによるけど、最低10個は必要ね。見つけにくい所にあるから結構時間かかると思うけど」
「プロセシング・マテリアル10個で俺とルナの愛の巣がーーーい、痛ててて、き、きつい!」
ルナに腕固め(プロレス技)をかけられる。 ルナは笑いながら、
「セクハラ禁止と何度言ったらわかるのかしら?」
「ごめんなさいごめんなさい!」
ルナは手を放す。
「まあいいわ。とりあえず後一匹狩りして、大工を作りましょう」
「質問、大工は女の子でもいいのですか?」
「セクハラギリギリのところできたわね。別にいいわよ、女でも」
ちょっと反応が意外だったが、俺は両腕のこぶしをぎゅっと握り、
「よっしゃ!めっさやる気出てきた!」
「あんたは・・・」
とりあえず目標が出来た。次は大工だ。
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