祝!1000PV突破! 第8話 特訓とクエスト

「あんな約束してどうすんだよ」


 響は愚痴る。


「大丈夫よ。思い出して。『向こう』の世界では10倍以上特訓する時間があるのよ」


「そうか!じゃあ1ヵ月ならかなり先になる」


 ルナは頷いて、


「家に帰ったら特訓開始よ」


 ーーー電脳世界ーーー


「それにしても丁度よかったわね」


「何が?」


「森が出来たことで今日から新しいクエストが始まるからよ」


 ?


 響は頭をひねる。


「新しく実行できるのは『狩り』と『採取』よ」


 ルナは森を指さし、響は疑問を口にする。


「狩りの対象ってどんな奴?まさかティラノサウルスみたいな奴じゃないよね?」


「そんな奴が相手ならあなたが即殺じゃない」


「・・・ううう」


 ルナは響の手を引いて、


「さ、森に入るわよ」


 響の前を歩いてゆく。


 ーーー森の中ーーー


「あれが狩りの対象よ」


 ルナが指さすのはーーー


 真っ黒な色をしたウサギだった。


「小動物じゃねーか!」


 ルナはむっ、として、


「なによ、文句あるの?」


「あるよ!大ありだよ!」


 響はウサギを指さし、


「見事に動物虐待じゃねーか!」


 ルナはハッ、っと鼻で笑い、


「あら、あなた菜食主義者でも気取るつもり?普段あなたが食してる豚肉や牛肉は動物虐待の範囲じゃないとでも?」


「ウサギは食わねーよ!」


「食べたじゃない今朝」


 ・・・・・・


「もしかしてディスプレイから出したアレは・・・」


「ぴんぽーん」


 俺は腹を押さえ胃のものを逆流させようとする。


「おえええええ!」


 しかし吐しゃ物は出ない。


「やーね。それくらいで。ちなみにこの世界はある程度汚せないようになってるわ」


 響はきっ、とルナをにらみ、


「お前は俺の手を汚せというのか!」


「そうよ。普段はあなたの代わりに手を汚してる食肉業者たちに感謝することね。あ、漁業の人達にもよ。あなたの代わりにさばいているんだから」


 反論できない。食肉業者や漁業者の皆さんごめんなさい、ありがとうございます。


 がぶりっ


「痛てーっ!」


 痛みに足元を見ると黒ウサギがふくらはぎに噛みついていた。


「なにすんだこの小動物!」


「あ、言い忘れたけど凶暴性とかはあっちの生物と極端に違ったりするから気を付けてね」


「それを早く言えーっ!」


 ルナは鞘の付いたナイフを響に投げ渡す。


「準備ができるまでこのナイフは貸しとくわ」


「あ、ありがとうございます」


 響は鞘からナイフを引き抜くと黒ウサギに突き刺す。


 黒ウサギはびくびくと痙攣する。喜んでいいのか血は出ない。


 この世界を汚せないのと関係があるんだろうか。


「な、なんかやたら生々しいんですけど!」


「これであなたも大人の階段を一段上ったわね」


「うう・・・汚された」


 その時、黒ウサギが光り始める。


 そしてピンク色のハート形の結晶に変わる


「なにこれ?」


「ライフ・マテリアルよ」


「らいふまてりある?」


 俺がおうむ返しに聞くと、


「これを使うと生き物を作れるようになるの」


「え?もしかして美少女を量産してハーレムとか作れんの?」


「セクハラはーーーー」


 ルナの言葉を最後まで聞き終わる前に、俺の意識は途絶した。

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