祝!900PV突破! 第7話 波乱の学校生活

 ざわ・・・ざわ・・・


 登校。

 俺とルナを遠巻きに見ている生徒からひそひそ声が聞こえる。いや、こちらに聞こえる声をひそひそ声と言っていいのか。


「可愛い」

「足細ーい」

「スタイル良いよね」

「綺麗な銀髪。お人形さんみたい」

「目赤いってどこの国だよ」

「隣の奴何だ?」

「荷物持ちじゃね?」


 お、俺は荷物持ち扱いですね。

 ルナはすまし顔で歩いて時折手を振る。

 お前はどこのアイドルだ。


 そんなこんなで教室ーーー


「転校生を紹介する」


 ぶっ!


 思わず吹き出す。


「どうした神鳴?」


「い、いえなんでもありません」


 これはお約束というやつか。


「では入りたまえ」


 ガラッ。


 入ってきたのは予想どうり、


ーーーワニだった。


 一瞬、場が凍る。


 次に教室内が騒然とする。


「ワニだ!俺たち襲われるんじゃね!?」


「非常口ー!」


「ちょっと待て!」


 俺は制止する。


「・・・ワニって二本足で直立歩行するんだっけ?」


 騒乱、そしてどよめき、最後に静寂が支配する。


 周囲の注目の中、ワニの後ろのファスナーがジーっと(中から)下ろされる。


 ルナはよいしょ、と着ぐるみを脱ぎ捨てて、


「ふっ、さすがね響、この私の変装を見抜くなんて」


「お前が来ることだけは事前に分かってたからな」


 ルナは髪を整えると、


「みなさーん、今の私から皆さんへのサプライズです、ビックリさせてごめんなさーい」


 ルナは笑顔を作って、


「私は神鳴瑠奈、響さんの従姉です。これからよろしくお願いします」


 悪夢の始まりだった。


 ーーー昼食時間。


 ルナの周りには人だかりができている。


「ねえねえ瑠奈さんってどこの国のハーフ?」

「銀髪で赤い目って珍しいよねー」

「ユーモアあるよね」

「どんな運動したらそんなスタイルよくなるの?」


 ルナは質問攻めに適当に答えている。


 そんな事はお構いなしに数人が俺に近づいてくる。このクラスの不良グループだ。


「おい神鳴」


「何でしょうか?」


「お前、瑠奈さんの従弟だって?」


 なんとなく言いたいことが予想できる。


「瑠奈さんに俺のこと紹介してくれねえかな?」


 予想どおりだ。


「自分でしてくださいよ」


「あんだと?俺の頼みが聞けねぇってのか?」


 というよりややこしい事態になるのが目に見えているからなのだが。


「うん、聞けない」


「ちょっと面かせや」


 ーーー屋上ーーー


 バキィッ!


 派手な音と同時に響が殴り飛ばされる。


「どうだ。これでもまだ俺に紹介してくれないのか?」


「お前この腫れあがった顔で紹介できると思ってるのか」


 こいつはアホだ。


「すぐじゃなくてもいいんだよ。いいから紹介しろ」


「じゃあ名前を聞いてもよろしいかしら?」


 声がしたほうを見やるとルナがフェンスの上に座っている。


「瑠奈さん、いや、これは」


「名前は?」


 ルナの強いプレッシャーを感じる。

 怒っている。不良の横暴にか、俺のふがいなさにか、あるいはその両方にか。


 迫力に負けてか不良が答える。


「大屋大吾(おおやだいご)です」


「そう、大吾さん」


 ルナはにこりと笑い、


「一ヶ月月後に響と決闘しなさい。響に勝ったらお付き合いしてもいいわ」


 思った通り、ややこしい事態になった。

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